ロストマンブルース 公演情報 SANETTY Produce「ロストマンブルース」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「初演の記憶を消してー!」そしたら最高の舞台
    本劇、作/演出久保田唱が自劇団以外ではあまり
    観せていないと思われるほどの
    「久保田ロジック」「久保田システム」が詰まってる
    (久保田唱の「ロジカルミステリ」ファンならたまらない!)。

    そして、役者陣の情熱がぶつかり合う姿がすごい!
    (知ってる役者さんなら
    「あの人こんな熱い演技もできるのか!?」と驚くくらい。)


    それだけに、自分が初演(GENKI Produceさん版)で、
    既に「謎解き」を終えてしまっていたのが悲しい・・・

    ※ いや、GENKI Produceさん版
     「ロストマンブルース」十分に面白かったです。

      ただ、今回の座組の熱さの上に
      「何も知らない自分」がいたら、
      自分の感性に最高のパフォーマンスで
      突き刺さったはずです・・・
      それを差し引いての☆4つ、と。
      (初めて本劇観れる人は最高だな、と思いますね。)


    冒頭からの流れでもう伏線張りまくり、と思える部分が
    まるで「デジャブ」かのように、
    すべてについて「アレはアソコに繋がって」
    「コレはココに繋がって」と
    推理小説のネタバレ聞いちゃったかのように
    自分の脳が先読みしちゃう。。。

    それがとても悲しかったです(´・ω・`)


    ただ、やっぱり本劇は役者の「熱の入れ方」が
    とても良いと思いました
    (そこは初演版を超えていたかと)。

    ある人がブワッと熱を入れた場面から
    自分は「純粋に物語自体」をすごく楽しめました。


    (ネタバレに近いけど1つだけ)
    「音楽」というキーワードを「演劇」に置き換えると
    ある人のナレーション的セリフの数々が痛いほど
    胸に突き刺さります。

    そして、「笹塚ファクトリーは今年で閉館」という事も。。。

    ※ 観劇時、そういう事も「視点」にくわえて
      いただけるといっそう興味深く
      観れるんじゃないでしょうか。

    ネタバレBOX

    【思った事】
    ・ 舞台開幕前の前説代わりの歌手の方の歌から、
      初演よりかなり「音楽」というイメージに力を入れているな、と。

    ・ 沖野さんが序盤声が結構枯れていて、
      「まだ2日目でどうして?」「大丈夫かな?」と
      少し(舞台自体の空気が壊れないか)心配に。
      ⇒
      ちゃんと中盤以降で立て直しました。
      役者さんってすごいね。

    ・ 久保田演劇で多用される文字映像の表示が
      役者さんに隠れるのはともかく
      今回のセットでは「読み」づらかったです。

    ・ 音響がすごく良かった。
      舞台自体の音楽性で言ったら間違いなく初演よりずっといい。

    ・ 主役のロッカーを始め、男優/女優どちらもすごく
      熱量の高い演技をしている。
      そしてそれらがぶつかり合うから
      「真剣な空気」がすごく産まれている。
      
      ロッカーが本気でキレて悩んで~のくだり、
      「答え」を知らなければ自分も
      同じ気持ちで悩んでしまったはず。

    ・ 中盤、嫁が実は娘で、と役の立ち位置が明かされていく場面、
      娘の涙にすごく心を揺さぶられました。

      三田寺さんってこんな演技出来る人だったんですね。

      ※ ボクラ団義舞台「シカク」では、
        三田寺さん=癒し系のかわいいアザラシちゃん=シリアスな展開を持つ舞台には
        向かないのでは?と三田寺さん回を敬遠してしまったのが
        惜しまれる・・・

    ・ マスター(佐藤さん)が冒頭から述べる
      「ここはライブハウス”シェリー”」~のくだり、
      「音楽」というキーワードを「演劇」に置き換えると
      すごく状況が(一応)「演劇好き」の自分には
      すごく伝わってくる。

      そして、ライブハウス”シェリー”が
      実は集客に悩んでいて潰れた話が、
      「笹塚ファクトリーが今年で閉館になる」話と
      かぶってしまっている事に気づいて「アッ!」と。
      (これは久保田さん狙った訳じゃないんでしょうが)

    ・ 6番シードの女優さんだと思うんですが、
      「シェリー」というロッカーのもう1人の娘、
      歌がすごく上手い、声量がほんと高い。
      (アフターイベントでのライブでは、
      曲の二番が分からず歌詞見なおしてちゃってましたが
      歌唱自体はすごくイイ!)

    ・ 当初、何人かの役者が10日ぐらい前まで
      別舞台に立っている、という話から
      「練習期間それだけで大丈夫なの?
      セリフすっ飛びとか観たらしらけちゃうよ?」
      と心配しましたが、
      全くそんな心配は杞憂に終わりました。
      ※ 序盤のロッカーのセリフには、
        「まだ役になりきれてないかな?」と思うような
        慣れてない感じがあったかもですが・・・
      (役者さんってすごいですね、
      2時間舞台のセリフと所作を
      何日ぐらいで覚えてるんだろう?)

    ・ 初演版と全く同じではなく、細部を強化してくるかな、
      とは思っていましたが、
      自分は「(多分)ここは強化、話の筋が分かりやすくしたのだろう」
      と分かった(思った)のは、
      「尾崎豊の曲が好きだった」「尾崎豊といえばピアノ曲が多い」からの
      「卒業」を聴かせる辺りを膨らませたかな?
      と感じたくらいでしょうか。

    ・ 物語に集中できてからは、そこで起きる/判明する
      様々な出来事もやっぱり心に伝わってくる。
      ラストの奥さんの「初めまして、私は・・・」から
      「○○ー(奥さんの名前)、いるじゃねーか」
      という小さな奇跡まで非常に楽しませていただきました。

    ・ 「上手い」とまでは言えませんでしたが、
      千代さんのベースなど
      役の為にこういう技能も身につける、
      というスタンスは素晴らしい。


    PS.アフタートークとして千代さんが
      「本劇では自分は中年の役という事で
      ?Kg太りました」という話を聞いて、
      「小劇場演劇の世界にもデ・ニーロはいるんだな」
      と、そのこだわりようにちょっと感動しました。

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    2015/05/27 23:42

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