1人芝居『てのひらの夜/とみこのむすこ』 公演情報 浅見臣樹1人企画「1人芝居『てのひらの夜/とみこのむすこ』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    時間が空いたんで
    日曜日に観ようかとも思ってたんだけど、急遽立ち見も覚悟して当日で行ったら普通に座れた(苦笑

    以前から名前は聞いてたんだけど、風みどり@新中野という場所に初めて行った。
    行ってみてびっくり。自分がわりと昔から良く歩くところだった。
    中野ブロードウェーに寄った後西新宿のカレー屋に行く前によく新中野まで行って、このあたりもぶらぶらしたりするんでこの小屋の前も何回か通った通ったことがあるはずなんだが、全然記憶がなかった(歩くルートを見て人間のレベルが分かるなぁ

    もっと向こうかと思って思わず通り過ぎそうになるところで店内に席が並んであるのを発見して、受付の人に聞いてやっとわかった。

    中に入ると思った以上にオンボロ。気に入った!(苦笑

    最近立派な劇場に行く頻度が増えてて演劇に対する愛が冷めかけていたところだった。
    立派な劇場でサイリウムを首から下げた中年に囲まれて涙を流しながらスタンディングオベーションしてるくらいなら土管のある原っぱで踊ってた方がマシだ。

    トイレの前の手洗いがモゲてて大丈夫かと思う。
    開演したっぽいのに役者(=主役)がなかなか出てこなくて不安に拍車をかける。
    誰か手洗いくらい直してやれよ。
    配管工のバイトの経験が無くてもネットで取説くらいあると思うんだが。手洗いの。

    ネタバレBOX

    始まる舞台は2作品。

    最初のは左手が恋人の男の話。

    最初さびしい異常者の話かと思ってたけど、観てるうちに主人公が役者という設定が生きてくる。

    この左手は本当の恋人?(の形見?)あるいは役者が演じる空想の恋人?

    割と男の握力でもって迫力ある動きのシーンがあるのでその迷いに拍車がかかる。
    (・・・毎日こんな荒々しく想像と割り切って左手と演じあえるなら、役も軽くかっさらえるのでは?(主人公は銀河鉄道の舞台のオーディションに落ちてきたばかりなのだった)と考えるのはご愛嬌

    最初は気持ち悪い狂気じみた男の話かと思ってると、どんどん女性の脳内の空気感に似た中でかわいい妄想に浸る役者志望の男の話に見えてくるから不思議だ。

    これも俳優の力なんだろうか?

    舞台を観ながら、台詞を頭の中で文章に落としてみたけれど、これやって気持ち悪くなくできる役者なんてそうはいないんじゃないかなぁ・・(笑

    迫真の演技ではあるんだが、気持ち悪くないというのか。

    一人芝居っていうのはこういうのが観れるから良いなぁ。

    複数の役者でやるとそれに合わせなければならない。
    「この人面白い役者だなぁ」と思う役者がその面白いままで舞台に立っているのを観ることはごく稀だ。

    みんな役者人生が長いように思うかもしれないけれど、本当に面白い役者なら、自分が面白いままで舞台に立てる機会が一生のうちでほとんどないことを本能的に理解しているのではないか。

    当日パンフなのか述懐なのかよくわからない一枚の紙に
    「稽古中にそんなんで良いのかと怒られた」
    ていうのがあったけど、自分はそれが「普通に演じて自分の持ち味が出ていない。うまくやろうとすんな」的なコメントなのかと勝手に解釈して嬉しくなった。
    良い人間いんのね。全部自分の妄想だけど(苦笑




    2作品目は母親の話。

    「29になって自分を産んだ母親より自分は年上になったけど、自分は母親より人間的に上になったという自信はとてもない」
    的な台詞が良いなと思った。

    あと、主人公(男)が流産するところも。
    周りの女性たちは妄想よと笑うけど、本人にとっては結構深刻な問題なんだろうなぁ。男だからそうと見えないだけで。

    でも、自分のお袋も自分を産む前に仕事が忙しくて何回も流産したと言っていたのを聞いて分かるけれど、女性にとって「流産するかもしれない・した」という不安・悲しさは相当に大きなものだと思う。
    そういう不安・悲しさを、妄想とはいえ感じ取ることができるなんて、自分はそれって素敵なことだと思う。

    ・・・いや、勿論妄想なんだけど。本当ではないんだけど。
    でも、真剣にそういう悲しみに純粋に向き合えるなんて、悪くない魅力だと思う。

    成田や高崎のクラブで働き、伊香保温泉で住み込みで働いたという母親の歴史が昭和を感じさせる。
    以前夜の足利市を歩いていた時に聞いたカラオケハウスから漏れた歌謡曲と、橋向こうの焼き鳥屋の、外の客にできた焼き鳥を乗っけて渡す台、あれなんていうのかな?に乗った猫が店内を眺めているところを思い出した(笑

    うん・・悪くない旅路だ。
      ・・夜の。

    終演後、外に出て駅に向かって歩き出すと向こうから小屋の裏から出た役者が走ってきてひといひとりにお礼を言っていた。

    うん、演劇って素敵だ。
    金のないところがとりわけ。


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    2015/05/17 00:32

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