満足度★★★★★
被り物とサブちゃんに泣くがいい
下北沢スズナリで渡辺源四郎商店の「海峡の7姉妹」を観る。
高度成長期の物流を支えた青函連絡船の歴史を、詩情豊かな“被り物”で語る。
7姉妹に擬人化された船たちのバラエティに富んだキャラ設定と
きょうだい喧嘩もあるホームドラマ仕立ての身近な展開が素晴らしく
私にとって遠い北の海峡の歴史は、一気に血の通った物語となった。
“頭に船の模型を載せてあご紐で抑える”という
あまりにも直球ストレートないでたちに笑って始まったのに
それはすぐ何の違和感もなく海峡を往復する優雅な船となり
7人の思いが集結して最高潮に達するラストの高揚感にはただただ圧倒された。
「は~るばるきたぜ函館~♪」という歌は過去に数えきれないほど聴いたが、
こんなに声をあげて泣きたいと思ったことがあっただろうか。
7姉妹の長女役工藤由佳子さん、次女の三上晴佳さん、五女の音喜多咲子さんが
突出して素晴らしく、その台詞の絶妙な味わいを堪能した。
脚本とあまりに相性の良い挿入歌の出会いが最高の相乗効果を生んでいる。
この先サブちゃんを聴く度に、私は泣かずにいられないだろう。