~宝や旅館~「げんせんじゃ~!」2015ver. 公演情報 劇団たいしゅう小説家「~宝や旅館~「げんせんじゃ~!」2015ver.」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    独特な世界観…
    舞台は北関東にある温泉街、老舗旅館「宝や」である。この旅館の従業員の休憩室兼事務所がセットとして組まれているが、それは見事であった。また、登場するキャスト以外の案内スタッフも濃紺に赤く染め抜いた模様の広角袖の印半纏…そこには「戸締り用心」と白抜きした文字が浮かび、会場全体を旅館に見立てようと雰囲気作りに努めていた。

    物語は、その旅館が不況のあおりを受けて客足が途絶え経営難に陥っていた。これを打開すべくある行動を画策するが…。

    キャストにイケメンが揃っていることもあり、女性客が多かったようだ。話が佳境に入った場面では場内のあちらこちらですすり泣きが聞こえる。一方遊びの場面も多く、そのギャップが大きい。

    緩いようにも感じたが、1時間45分の公演を観せてしまう独特な世界観があった。

    (ネタバレBOX 5.7追記)

    ネタバレBOX

    経営危機を乗り越えるべくある秘策を考えていた...それは温泉街の最大イベントのパフォーマンス大会で優勝し、それを目玉として集客しようというもの。その出し物が”戦隊もの”である。そのため東京からアクションスターを招聘するということであったが、同姓同名の大部屋アクションスター(自称)の「フジオカ ヒロシ」であった。このいい加減な設定は笑いネタであるが、少しくどい。
    一方、唯一の女性キャスト(未浜杏梨さん)は、旅館で働く兄妹であるが、実は耳が聞えないため、話もできない。この妹の健気な仕草と優しい心が観客の胸を打つ。この感動的なシーンと先のアクションの笑いネタが錯綜するため、本当に観せる、そして魅せるシーンの余韻が台無しになる。

    笑いネタは楽しませるサービスであることは感じつつも、もっと物語の本筋を大切にしたら素晴らしい芝居になったと思う。
    ラストは戦隊ものらしく、色鮮やかな衣装を着て踊るパフォーマンスであるが、ここでも遊びが多すぎたと思う。やはり演出のバランス感覚が必要であろう。
    ちなみに優勝は出来ず、予定調和にはならないが、子供に受けたようで予約電話が入る。しかし、経営難と言いつつも、新たに従業員を採用するとは...。

    公演全体を通じて温かい雰囲気、そして観客を楽しませようとするサービス精神が感じられ、最後まで観させる独特な世界観を持っていた(一方、緩い展開でもあるが)。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/05/04 23:58

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