満足度★★★★
配置の妙/約110分
置きチラシに入っていた挨拶文で作・演出の広田さんが自ら認めていた通り、事前に予告されたものとはずいぶん趣の違う内容になっていたが、犯罪者という特別な人達の悪に迫った一作目と二作目に対し、今作では“誰もが不可避的に抱え込む悪”、さらには“国をはじめあらゆる組織が必然的に抱え込む悪”、つまりは“悪の普遍性”にまで踏み込んだ内容になっていて、「悪と自由」三部作の掉尾を飾るにふさわしい作品になっていたと思う。
見せ方としては、この“悪の普遍性”を示すエピソードを極大のものから極小のものまで、合間にダンスなど挟みつつ大した脈絡もつけないまま舞台上に配置してゆくスタイル。
この“配置”が作り出す絵ヅラがおそろしく美しく、また、この“配置”の妙により様々な記憶や思念が脳内に喚起され、退屈するということが一度もないまま二時間近くが過ぎていった。
力強いモノローグとものものしい音響・照明によって織り成された、東京大空襲のくだりが圧巻でした