カタルシツ『地下室の手記』 公演情報 イキウメ「カタルシツ『地下室の手記』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    面白すぎだろう!
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    イキウメの【地下室の手記】を観劇。

    原作はドストエフスキーになっているが、設定のみ使用した感じのようだ。

    そして安井順平の独り芝居。

    社会生活から逃げ出した独身男性の地下室での勝手な独白。
    そこでは社会の不満、人間関係の矛盾など今までの人生経験から感じた事を我々観客に訴えかけている。誰もがなるほど、なるほどと最初は思うのだが、少しづつ彼が言っている事と現実社会での彼の生き方に大きな食い違いを感じてくるのである。
    そして彼の人生そのものが日和見的、八方美人、風見鶏的な生き方で、実人生を生きてないのが分かってくるのである。やや本谷有希子的な自意識過剰な人間?とも言えなくないが、それ以下ですらあるのである。
    そして彼自身が偽りの人生を生きているのを分かっていながら、変えたいが変えられない状態であり、「そんな自分は糞だ!」と自らを蔑さんですらいるのである。
    しかしそんな彼にもソープ嬢を悪の手から救い出して、人生が変われる瞬間があるのだが、結局逃げてしまうのである。
    そしてまたもや「自分は糞だ!」で終わってしまうのである。
    結局、彼の人生とは何だったんだ?と疑問を残しながら終わってしまうのだが、前作の【新しい祝日】で自分の実人生を生きられない、社会の波に呑まれて、気がつく事すら出来ないサラリーマンの悲愁を描いていたが、今作も全くの同様だ。
    ただ今作では、前作の自分の実人生の問いかけを超えた、更に先の問いかけを我々に投げかけていたようだ。

    まぁ、但しこの感想はあくまでも後づけのようなもので、芝居時代がかなりの糞で、面白すぎて、観ている最中は観客の誰もが全く自分の実人生について考えないというのが今作の最大のオチである。

    独り芝居の傑作である。

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    2015/02/27 20:59

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