太陽の棘 彼はなぜ彼女を残して旅立ったのだろう 公演情報 演劇集団キャラメルボックス「太陽の棘 彼はなぜ彼女を残して旅立ったのだろう」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    苦味を中和したキャラメル風味作品。
    ほさかさんのダークな寓話的話が、キャラメルボックスの持ち味でもある「他者を想う気持ち」と「困難を脱した先に起こるもの」が上手く調和された心の旅でありタイトルに偽りなしの、残された人々の再生物語だった。
    宮沢賢治の未発表童話「ペンネンノルデの伝記」も絡めて話も進むが、賢治の一連の発表作品のような、現実と幻想の世界観が垣間見られたりするも評伝記ではない独立した作品。日々衰え、失いそうになる「良心」を思い出させるような舞台だった。
    約1時間50分。

    ネタバレBOX

    不慮の事故によりこの世を去った恭一の心理を、残された恋人と恭一の弟や従姉妹たちが恭一の残した手紙とともに、手がかりを求め岩手に行くことになる。
    最愛な人を失い傷心した残された人々も、そこに到達するまで、もがいて悩んで苦しんで、を丁寧に現していた。
    鍛冶本さん、多田さん、岡内さん、3人が主役のようでもあり、場面ごとの複雑な喜怒哀楽の心境の変化に引き込まれた。左東さんの存在に和み、久松さんの袖フリル衣装姿は可愛かった。できればその姿を写真に撮ってみたかったりして。

    この劇団の公演は数回しか見ていないが、舞台設定が現代の場合、悩める(男、又は女の)若人、情に厚くやや騒々しい友人隣人、知己ありげな大人と、役割と設定が似ているように思えるのは、たまたま自分が見た舞台がそのような内容だったのかな。
    前方席からの観劇だったが、挿入曲の場面では音響がうるさく聞こえるのは毎回どうにかしてほしいと思うのだが。

    他の観劇感想にも書いたことがあるが、子供の頃に東北言葉を初めて接した時のイマジネーションについていけなかったこともあり、個人的に宮沢賢治作品は苦手意識がある。
    更に近年は突発事象により演劇公演緊急事態になるとかなりの頻度で上演される、もしくは、されやすい作家という印象になってしまった。
    今回も宮沢賢治絡みということを目にし、多少の懸念はあったものの、作品自体はよかったのでその不安は薄らいだ。

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    2014/12/19 16:07

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