満足度★★★
意味のあるナンセンス
東京と台北、演劇とダンスのコラボレーションを安易な所に落ち着かせず、敢えてそのまま舞台に乗せたような取り留めの無さが新鮮でした。
東京の役者3人と台北のダンサー3人がある場所に連れて来られ、コミュニケーションを取ろうとしても上手く行かず、外にも出られない状況を描いていました。昨年のアジア舞台芸術祭のテーマだった「米」を引き継いだ内容で、異文化コミュニケーションの難しさが支離滅裂な展開の中に表現されていました。日本語、中国語、英語、字幕が錯綜してカオスになっていく様子が圧巻でした。
『ゴドーを待ちながら』や『ハムレット』の引用があったり、駄洒落的に宮城聡さん、平田オリザさん、青年団、早稲田大学の名前を持ち出したりして、表層的には悪ふざけに見える中に国際文化交流や舞台芸術に対しての批評性が見え隠れするのがスリリングでした。
宙吊りシーンのワイヤー装着の為に舞台下手にブースが設けられていたり、ラストに客席に向かってテープ発射装置を用いたりと、敢えて一発芸的なことにお金を掛けているのが楽しかったです。