満足度★★★
ロルカの最期
スペインの詩人・劇作家、フェデリコ・ガルシア・ロルカを描いたオペラと、その前に上演されたプロローグ的役割の短い芝居による2部構成でした。
第1部は田尾下哲さんの構成による、ロルカの伝記を書いているジャーナリストがロルカの生涯を詩の朗読を交えて語る体裁の30分程度の芝居でした。駆け足過ぎて物足りなく感じたので、1時間くらい掛けるか、あるいはオペラ上演のみでも良いと思いました。
第2部の『アイナダマール』は、ロルカの劇作品『マリアナ・ピネーダ』に出演中の女優マルガリータ・シルグが楽屋でロルカとの過去を回顧する形で展開する物語で、ロルカとマリアナ・ピネーダが重なるように描かれた作品でした(女性歌手がロルカを演じていました)。
終盤でロルカが処刑された後に男性ダンサー達が倒れては起き上がる動きを繰り返し、生命の力強さを感じさせました。
美しい映像と男性群舞を用いた、過不足の無い分かり易い演出で物語の世界に引き込まれましたが、舞台上空に吊られた戦争を象徴する刃物のような形状のオブジェが出たり引っ込んだりするのは少々煩く感じました。
小編成のオーケストラにスパニッシュギターとカホン、手拍子が加わりフラメンコやマンボといったラテン情緒溢れるエモーショナルな音楽が魅力的でした。
録音の声や効果音を用いたり、一部で歌声にエフェクトを掛けたりと、クラシックのしきたりに囚われないテクノロジーの使用がドラマ性を高めていましたが、音響バランスが悪い部分も所々にあり、部分的なPA使用の難しさを感じました。