いつまでも観に来たい劇団
東京ジャンクZ「サスペンデッドアワー」
毎回、この劇団は行くようにしている。人に勧めたい芝居ではなく、自分だけが知っている密かな楽しみだ。この劇団はまずチラシが良い。かっこいい。でも、このチラシそのままのイメージで見に行くと痛い目を見る。俺はこの劇団を期待しないで見に行く。そのくらいの気の持ちで見に行くとちょうどいい。
開演前、劇場の外で威勢のいい声が呼び込みをしているのでわくわくする。中に入ってみると、豪華な舞台がたっている。ここの美術は毎回すばらしいと思う。そう、この劇団はスタッフワークにプロの方をよんでいるので、スタッフだけでもかなりの見応えある舞台を作る事が出来ている。
ぶっちゃけた話をすると、俳優はそれほど上手くはない。早稲田劇研だけあって声も出てるし身体も良く動くが、間の取り方がどうにも上手くいっていない。それならそれで間の一切ない、バリバリエンターテイメントみたいな芝居をやればいいのだが、わりと作風は会話劇とエンタメの間の子の感じなので、妙な違和感がある。会話が上手くいってないように見える。
それと、ギャグの使い方がとても雑である。特にギャグの後の処理というか、滑らなければその勢いで先に進めるけど、滑った時の安全策を考えてないというか、頭からヘッドスライディングしてくるギャグなのである。
ギャグがコテコテだったりするので多分役者は相当苦労してるんだと思う。この手のものは相当な技術力が無いと笑わせられない。ヤクザ兄弟は力があるようで、個人のギャグやその二人でのギャグは成立していた。けれど、他の人たちはコンビネーションでの笑いに苦労しているように見えた。
それでもこの劇団にはB級的なすばらしい魅力がある
。B級というものは、本人たちが本気になってやっていなければB級とはいえない。でもこの劇団は本気だろう。スタッフワークもすばらしいし、話は長いが見てられないような内容では無いので、ずっとニヤニヤしながらみてしまう。なぜかお客さんを楽しませるエンターテイメント性はしっかり押さえてる。詰めのあまい箇所に愛おしさを感じさせてくれる。「次はきっと面白いだろう!」という気分にさせられる。でも多分次回もそんなことを思うんだろうな。
この劇団にはいつまでもがんばってほしい。
2014/12/09 22:38
東京ジャンクZ・主宰の畑田です。
遅ればせながら、先月は『サスペンデッドアワー』御観劇、本当にありがとうございました。観てきたコメントもありがとうございます。貴重なご感想、有り難く拝読致しました。
「いつまでも観に来たい劇団」と仰って頂けて光栄です。まだまだ実力が足りていない部分も多いのですが、今後も懲りずに来てくださいましたら幸いです。何卒、よろしくお願い致します。
また劇場にてお待ちしております。今後ともご贔屓に、お願い致します。