満足度★★★
不器用な大人達
通俗的メロドラマのような内容でありながら、リアリティーのある演技によって煮えきれない大人の男女関係が魅力的に描かれていました。
仕立て屋の家の三男と結婚したものの早くも夫を亡くしてしまった女と、義理の兄にあたる次男との無器用な恋愛模様を中心に、店に出入りする周囲の人を描いた物語で、なかなか本音を言わない2人と中国人の女や若い女のストレートな発言の対比が印象的でした。終盤の劇的な展開になるまでは淡々とした雰囲気が支配的ですが、ちょっとした言葉や動きにおかしみがあり、程良く笑えました。
終わり方がいかにもな感じで、エピローグが続くと思わせながら、そのまま終わってしまうのが逆に意外に感じました。
タイトルについて直接的言及は無いものの、様々な場面で水/液体の要素が登場するのが印象的でした。
リアルな広間のセット、派手な演出を用いない照明、暗転時のみ流れる音楽と、地味ながら的確なスタッフワークがドラマに深みを与えていたと思います。
未亡人を演じた菊池亜希子さんの表面的には清楚でありながら陰の部分を抱えている感じが良かったです。
長男役の池田成志さんが今まで演じてきたタイプと異なる役で新たな魅力を感じました。