満足度★★★★
群像劇からの収斂が見事
東京に近い海辺の街でのひと夏の恋愛模様ア・ラ・カルト。
登場人物も多く、群像劇の体で始まりながらも終盤、きちんと1つに収斂する構造が鮮やか。
夏にちなんだ歌の使い方やこの会場ならではの演出も巧み。
照明は中盤で夕暮れから星空になり、その後雷雨となるシーン(5場〜6場)が白眉。
内容ではホスピスでのテルオとみさきのやりとり(9場)が滑稽でありながらもテルオの切実さやみさきの想いが察せられて切ない。
また、大場家の母の「使い方」が劇中ポジションとしても劇場内での具体的な位置としても上手くて感心。
あと、ラストの映画における「クレジットの後に…」風な部分があるのも好みだったな。
ところで4場のテルオの妄想に「あれ?俺じゃ役不足?」という台詞があるが、「あれ?俺じゃ“役者不足”?」にすべきだろう。(ありがちな“力不足”との取り違えとは微妙に異なる?)
まさか「テルオならそんな間違い方をするよね」という深慮遠望ではないよね?(笑)