女優・森光子の執念の舞台
上演回数1900回を越えた日本演劇界の至宝の作品といわれる。日本の演劇は相当変わった。座長芝居ができなくなってきたのだ。20年くらい前であれば、森光子さんだけでなく、山田五十鈴さん、山本富士子、佐久間良子などなど、蒼々たる大女優がいて、一ヶ月の興行の看板として、芸者の話とか、家族の話とか、恋愛ものも含めて芝居で大劇場を一ヶ月集客していたのだ。しかし、この20年で時代は変わった。ひとりの俳優が観客を呼ぶというよりも作品でお客さんを呼ぶという風に変わっていったのだ。大女優といえども、作品の中のひとりというわけだ。演出家や作家の時代となった。例えば、三谷幸喜さんや、井上ひでのりさん、蜷川幸雄さん、若手で言えば長塚圭史といったような才能が台頭してくる。観客は作品に息づく俳優を観るのも楽しみなのだが、それ以上に作品を見ているのだ。集団で見せるミュージカルもそうだ。
そういった意味合いで、森光子は最後の看板女優といえる。
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