パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました! 公演情報 おぼんろ「パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    今こそ呪文を
    八幡山ワーサルシアターの後、岡山・島根と回って帰って来た王子公演。
    ハコが変わると何かが変わるのか、42公演の40公演目を観に行った。
    長丁場にも関わらず疲れを感じさせない声と
    緊張感あふれるパフォーマンスが素晴らしい。
    そしてわかっているのにやっぱり泣いちゃう。
    リンリンの哀しい恋と、メグメが切々と歌う無念さ。
    タックと一緒に空を見上げて、タックの知らないトシリモを想って…。

    ネタバレBOX

    天井の高いドーム型の劇場は、空間が凝縮されて
    天井から光が差し込む場面がいっそうドラマチックになる。
    工場長(さひがしジュンペイ)が懐中電灯を手に降りて来る場面では
    その高さと距離感が十分に活かされていた。

    スタートして5公演目を観た時より、人物像が濃くなっている。
    それぞれのキャラから紡ぎ出される糸の色が
    たっぷり染まって深みを増した感じ、と言ったらいいだろうか。
    微妙に振れ幅が大きくなった台詞、
    アドリブや客いじりの絶妙な加減のせいかもしれない。

    2度目の観劇で改めて感じたことは
    藤井としもりさんの声の魅力的なことだ。
    艶のある声が良くコントロールされていて
    次第に変化していくトシリモの心情が豊かに伝わってくる。
    絶望的な世界で生きる者の、“絶望的な希望”とでも言うべき選択を
    体現していて素晴らしいと思う。

    必要悪の負の部分を一手に担う工場長は
    冷徹さが増して、その分苦悩がいっそう濃くなった台詞が味わい深い。
    さひがしジュンペイさんのリンリンに向ける慈愛のまなざしや
    ベルトコンベヤーから落ちたタックを助けた顛末を語るところ、
    絶望の中で工場長自身が救いを求めていることを感じさせる。

    今回私はたまたま椅子席に座れたが、2時間半超を体育座りはキツイ。
    シアターコクーンを目指すのであれば
    どんな劇場でも自分たちのアクティングスペースを構築すること
    その上で快適な客席を設営すること、が必須条件になるだろう。
    誰かを誘いたい時、座席がネックでためらうのはあまりにもったいない。

    末原拓馬さんの描く世界は深く示唆に富み、魅力的だ。
    私としてはいつか彼に“純真無垢でない”ダークなキャラなんかも演って欲しい。
    5人の創る世界は孤独な私たちを魅了する。
    観客動員数4194人を達成できるかどうかわからないが
    千秋楽は数字なんか忘れて行こう。
    そして今こそ呪文を唱えよう。

    「パダラマ・ジュグラマ」と…。






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    2014/07/21 04:46

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