閃光 公演情報 reset-N「閃光」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度

    凡庸な劇作家の肖像
    「傑作」「演劇にしかできないこと」。主宰の夏井氏がそう謳うからにはと心底期待したのだが、見事に裏切られた。メタという方法論に対する批評性がまったく欠如しており、斬新さは微塵も無い。創作の苦悩や愛の遍歴をモティーフに、劇作家の個人的な経験・視座を起点として、演劇という制度へ知的な揺さぶりをかける闘争=創造へまで昇華されているならば評価出来たのだが、まるでそのレヴェルには達していない。劇作家/演出家とその女、そして劇団の虚実を交錯させメタ構築した、ただそれだけ。ネクストスタンダードの追求を標榜するにしてはあまりにも凡庸で稚拙。観劇中、一瞬たりともスリリングな疾走を感じられなかった。平易で、退屈で、安全だ。     

    キャラクターの感情が昂る濃密な場面に差し掛かると、俳優の演技がしばしば破綻し、失笑してしまった。適正なトーンや焦点がズレてリアリティを喪失していた。「現実」を参照とする自然さ/不自然さ、ということでは無論ない。その劇場に、その演目で、そのキャラクターがそこに在るためのリアリティが、である。演技の巧拙とリアリティで言えば唯一、基準に達していると感じたのは原田紀行氏。

    ネタバレBOX

    拍手することは出来なかった。この劇作家/演出家の限界に立ち会った気がしたのだ。私はこれまで幾度かreset-Nの作品を観てきたが、「やめた方がよい」という意思表示をした以上、今回を最後とすべきかも知れない。けれども心底、期待していたのだ。

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    2008/08/06 15:11

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