星の結び目 公演情報 青☆組「星の結び目」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    素晴らしい!!!
    目頭が熱くなりました。

    ネタバレBOX

    南京陥落の前辺りから少しずつ勢いがなくなった氷屋を営む吉永園の当主一家や奉公人たちの話。

    戦時色が濃くなると贅沢品が排除されるようになり、氷屋という商売が次第に成り立たなくなっていくことは分かっていても、日々の仕事を真面目にこなしていくしか方法がなく、結局は有事を乗り切ることはできませんでした。

    初演も観ており、そうだったそうだったと筋立てを思い出しながら観ていましたが、今回の方が感動したように思います。次第に没落していく様や、経理担当の榎本が出征するシーンなどはジーンと来ました。

    みんなどうなったんでしょうね。

    「お味噌汁の具を買いに」、同じネギの入った買い物かごは戦前には女中さんが持っていたものです。晩御飯のメインディッシュのはずなのに、魚や肉が買えないことを味噌汁の具という言葉で見栄を張ったとすれば、戦後のこの状況が完全には受け入れられない静子の心境が窺えます。

    ストーリーテラーも兼ねた福寿奈央さん、大活躍でした。ストーリーテラーを使う手法はあまり好きではないのですが、すぐに梅子やその叔母さん役に戻っていくのでさほど気にはなりませんでした。「星の流れに」を地で行ったような時を経ての幸せに本当に良かったと思います。

    荒井志郎さん演じる次男信雄が初代甚五郎を演じたところは跡取り問題の難しさを垣間見せてくれました。長男に家督を相続させるのはお家安泰のためには当然のことですが、外で生ませた次男が長男よりも自分に似ているとなると、一瞬の迷いぐらいはあったのでしょうかね。

    5月に観た『殺風景』で、大倉考二さん演じる長男が20~30年前の売春バーに出入りしていたお客とそっくりで、父親からすると実の子でないことが一目瞭然にも拘らずフツーに長男として扱っていたのを思い出し、二役の妙を再確認しました。

    奉公人の桂吉に我が子として育てられた吹雪と、芸者の小雪の二役を演じた小瀧万梨子さんは、脳天気な動と無口で艶っぽい静の使い分けが素敵でした。

    戦争で死んだ人もいれば生き残った人もいるでしょう。本当に気になります。せめて静子と榎本ぐらいは幸せにしてあげたいと願います。

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    2014/07/07 11:17

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