ナカゴー特別劇場vol.12『ノット・アナザー・ティーンムービー』 公演情報 ナカゴー「ナカゴー特別劇場vol.12『ノット・アナザー・ティーンムービー』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ブライアン・デ・パルマの作品を、トビー・フーパーが何かの片手間にリメイクしたら………
    エロ・グロ・ナンセンス!
    エロ・グロ・ナンセンス!
    エロ・グロ・ナンセンス!
    エロ・グロ・ナンセンス!
    エロ・グロ・ナンセンス!

    ネタバレBOX

    今回の作品は、奇妙な宇宙人を自転車の前カゴに入れている、フライヤーの写真からもわかるように、映画を意識しているのではないだろうか。
    ……というか、タイトルにもあるしね。

    それもC級のスプラッター・ホラーを。
    トンデモ設定で脱力展開に苦笑してしまう、というやつだ。

    下敷きは明らかに、デ・パルマの『キャリー』だ。
    劇中何度も名前を「キャリー」と間違えられてしまうキャシーが、それだ。

    だから、プロムパーティと騙されてキャシーの超能力が最大限に発揮されるラスト近くのシーンは納得。

    しかし、ナカゴー、そう一筋縄ではいかない。
    とにかく、下品である。
    どこかポップなテイストもありつつの、下品が炸裂する。
    ストーリー展開においても、台詞においても、キャラにしてもだ。
    さらに毒がある。

    今回は、客席が対面式になっていて、その間が舞台となっている。
    なので、対面にいる観客の姿が目に入る。

    とにかく爆笑している観客、少し怒りがあるような観客、うんざり顔の観客、口を開けて見入る観客などさまざまだ。
    「受け入れる」「受け入れない」がはっきりしたようだ。

    ナカゴーの観客は、いつもその2パターンなのだが、それがさらにはっきりしたように思える。

    私はと言えば、もちろん、笑い、苦笑した。
    急に思いついたように、名前を呼ぶときの、英語風な発音などの小ネタも豊富だし、舞台の上で同時に起こっている出来事の中にも、変質的なこだわりが笑わせてくれる。

    アメリカの青春モノ的な設定なのに、食人族や四次元がどうこうなどのトンデモ展開で、さらに酷い差別ネタや必要のないエロネタなど満載なのだ。スプラッターもあるし、雑でもある。
    とにかく、ナンセンスのオンパレード(いつものナカゴーのナンセンス度をさらに拡大した感じ)で、展開がまったく読めず、あれよあれよと進む。

    エロ・ネタは、前作『さらに』よりは、トーンダウンした印象はあるが、それでも女性観客の多くは顔をしかめること間違いない。
    思わず笑っちゃたりもするのだが。

    人を喰ったようなネタ(まあ、実際人が喰われるのだけど)で大笑いさせたり、下品なエロネタや差別ネタで苦笑させる。

    何も考えずにその場限りの笑いの作品として観ても面白い。
    「意味」みたいなものを問えば、もちろんなにがしかのテーマ的なもの、例えば、「黒人は奴隷ではなかった」からの、歴史観的な揶揄なども考えられるのだが、それはここでで述べてもしょうがないだろう。

    ナカゴーの篠原正明さんは、いつも、どんな作品でも、アメリカの青春ドラマのような演技をしている。つまり、やけに翻訳っぽい台詞と肩をすくめるようなアメリカンな演技だ。
    その演技スタイルが今回初めて作品とマッチした。
    そこがバカバカしくて、最初から笑ってしまった。
    台東区や荒川区一帯が舞台設定の場所としての印象が強いナカゴーなので、アメリカンな演技を必要とされる作品は、この先ずっとないだろうから、(たぶん)最初で最後の演技と作品マッチではなかったのだろうか。
    作・演の鎌田順也さんは、この作品のために、篠原正明さんのアメリカンな演技を鍛えてきたのならば、凄いのだが。
    ……それはないだろうな。

    ナカゴーと言えば、過剰な繰り返しなのだが、今回はそれを封印したようだ。
    ただし、しつこさ、粘っこさという点では、過去の作品に劣らず、とにかくしつこい作品でもある。

    ナカゴーからの出演は、篠原正明さんと鎌田順也さん(黒子?)だけなのだが、他の役者もナカゴーにきちんとはまり、吹っ切れた演技を見せてくれた。
    そこがこの作品の一番のいいところであったと思う。

    エロ・グロ・ナンセンスなので、万人にはお勧めできない。

    しかし、次回は、近藤芳正さんを軸として、ナカゴーをはじめ、Mrs.fictionsや青☆組などいくつかの劇団が競演する作品が待っている。
    ナカゴーは、近藤芳正さんに、アノ演技を強要するのだろうか。
    青☆組を目当てで来たお客さんには激怒されるんじゃないだろうか。
    楽しみであり、心配でもある。

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    2014/06/28 16:54

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