劇的舞踊『カルメン』 公演情報 Noism「劇的舞踊『カルメン』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    独創的な終盤の展開
    有名なストーリーが分かり易く描かれているかと描かれていると思いきや、後半では独創的な展開となり、ダンスとしてだけでなく物語としても強く引き込まれました。

    原作の小説とオペラ版の台本を混ぜた構成になっていて、カルメンとドン・ホセの物語が作家による報告という体裁を取って話が展開しました。
    実際に幕の後ろで演じている様に演出された事前撮り(あるいはCGでしょうか?)の影絵劇による序幕に続いて、分かり易い表現で物語通りに進行しました。
    しかし終盤になると、それまでに死んだ登場人物達が顔を白塗りにして幽霊として現れてカルメンとドン・ホセを責めるという、小説ともオペラとも異なる幻想的な場面になり、更にはカルメンがロングヘアーのウイッグを外して投げることによって物語の階層の外に飛び出し、冒頭から所々に現れていた大きなローブで体を隠していた老婆とラストで入れ替わり、全ての運命を操る存在としてカルメンが描かれていて、強烈なインパクトがありました。

    闘牛士が牛の下敷きになる場面を能や歌舞伎の『道成寺』の様に落ちて来た牛のハリボテのオブジェの中にすっぽり入ったり、コミカルな振付があったりとユーモラスな表現が嫌味にならない程度に盛り込まれていて楽しかったです。
    クラシックバレエ的な動きが多い振付でしたが、とてもスピード感と迫力があり魅力的でした。
    ダンサーが数箇所で出す叫び声を際立たせていましたが、踊りだけで十分伝わって来るものがあったので、わざわざ声を用いなくても良いと思いました。

    音楽はビゼー作曲のオリジナルのスコアの物は用いずに、オーケストラ用にアレンジされたいくつかの版をミックスして使用していて、歌声が現れてこない選曲となっていたのが良かったです。

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    2014/06/23 22:47

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