トーマの心臓 公演情報 Studio Life(スタジオライフ)「トーマの心臓」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    特異な体験
    お客さんの9割以上は女性。
    男性が演じる宝塚という感じ。
    まず、それに驚いた。

    私の席が舞台から遠かったので(最後列のひとつ前)、演技の仔細はよくわからなかったけれど、そんな悪条件でも集中して最後まで観ることができた。

    作品の世界観も、客層、興行の在り方も含めて、普段観る作品と違いすぎて、どう評していいかわからない。(詳しくはネタバレに)

    満足度は、特異な経験をしたという意味も含めて✩4。

    ネタバレBOX

    萩尾望都の少女漫画を舞台化した作品。

    舞台を観終わって、「?」が多かったこともあり、原作を読んでみた。
    (「?」と言っても、難解な物語だったという意味ではない。
     細部で、腑に落ちない部分が何カ所かあったのだ。)

    舞台で覚えた「?」の謎は、キレイに解けた。

    内容がとても複雑なものを、舞台という場面背景を限定せざるを得ない空間で再構築するために、原作にあったいくつかの要素がカットされていたのだ。その部分の伏線が繋がらなかったので、違和感を覚えた。
    これは、作品の独立性が緩いという言い方もできるが、そもそも、この作品を観に来ているお客さんの多くは、原作を既に読んでいて、その世界観が好きで、なるべく原作に忠実にやってほしいと望んでいるのだと考えると、これだけの複雑な要素が絡まる作品を、うまくひとつの舞台に纏めた脚本・演出の倉田淳氏の手腕にむしろ賛辞を贈るべきなのかもしれない。
    この点は評価が難しい。

    また、誇大な演技が数カ所見られたのも「?」だった。
    原作を読むと、やはり繊細なシーンだった。
    ただ、この点も、紀伊国屋ホールという大きな劇場では、小さく繊細な演技では伝わらないため、大きな演出を付けざるを得なかったのだろう。
    私自身、後ろから2番目の席だったので、その場面で繊細な演技をされても、まったく見えなかった可能性はある。
    そう考えると、この点も評価が難しい。

    共に、このような観客・興行を前提とした公演ということを考えると、仕方がないとも思うが、原作の世界観に惹かれて行った訳ではなく、また普段小劇場でばかり観ている人間にとっては、どうなのだろうとは思ってしまった。

    もう一点、これは良い点だが、
    主演のユリスモール役山本芳樹さんの所作が、漫画に描かれていたユリスモールと所作と瓜二つだったこと。生で観ていた時は、漫画側の世界観を知らなかったため、「こういう世界観の演技としてはうまいな」位にしか思っていなかったが、原作を読んでびっくり。忠実なんてものじゃなかった。素晴らしかった。


    内容としては、「ファウスト」のような、キリスト教的な善悪に引き裂かれること。
    その悪の傷を受けて堕天使となってしまった者に救済は可能かということ。
    性が分化される以前の人間存在そのものの愛、そして孤独。
    人種問題など、、、
    複雑な要素が絡まった傑作。

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    2014/06/22 22:52

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