発表会。
他に相応しい称し方を見付けられなかったのです。「発表会レベル」とは意味合いがまるで違うので、抱かれる心象にはくれぐれも御注意を。これは夏井孝裕氏による、演劇という概念を題材にした発表会。表現というよりは再現であり、品(しな)であり品(ひん)。内容に関しては説明文とここまでのコメントに委ねます。
このタイミングで敢行した事の意義。団体としての単独公演でもありますが、大きな枠組みで見ると演劇祭の一演目。これがreset-Nとのファーストコンタクトになった観客は決して少なくないでしょう。先読み出来たであろうその状況に、これを行う。果たしてその真意とは?結果的には、自らが演劇に関わっている人々に好評な様子。そういう自分は事前に得た風評で「多分好きじゃないな」と思い、いざ劇場でパンフレットの挨拶文を読んで「絶対好きじゃないな」と思いました。けれども、終わったら拍手をしていました。私は普段しない時のほうが多いです。同時に、演劇を観慣れない人を一緒に連れて行っていたとしたらその拍手の意味は理解されないだろうなという気もします。
残念に思うのは公演期間の短さ。小劇場としてはむしろ長いほうではあるのですが、この倍の期間が必要だったと思います。ここまでの反応が公演の前半戦で生まれたものだったとすれば、後半戦に劇場へと足を運ぶ人々は内容をある程度把握して意図的に向かう事になったでしょう。その時に向かう人々は演劇関係者ばかりになったであろうとも思います。演劇を広める為には普段あまり観ていない人々にこそ観てもらうべき。ですが、演劇関係者に刺激を与えるのもまた必要な事。