片鱗 公演情報 イキウメ「片鱗」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    さすがイキウメにハズレ無し
    やっぱりおもしろかった。今回は、ちょっとオカルトというか、怖いお話。
    手塚とおる氏が出るというので、これもたのしみだったのだが…

    ネタバレBOX

    超ベタな使い方というか。でもそれが正解なのかも。手塚さんならではの不気味さを存分に味わえる役。
    「魔」っていうか、「呪」かな? 役名は「男」だけど。
    セリフはひとつもなく、時々呻き声をあげ、手足をくねらせて舞台上や客席を徘徊しているだけ。
    最前列の客席がところどころ空席なので、ああこれは何かに使うんだなと予想したけれど…手塚さんが座るためだったとは。隣に座られた人はちょっと落ち着かないんじゃないかしらん。

    一見平穏な郊外の住宅街に、父一人娘一人の安斉家が越してきたところからソレが始まる。
    まあつまり、ソレってのは「呪い」だったわけだが。
    「男」を目撃した人は、次々とおかしくなってしまう。
    「許さない」のひと言だけを繰り返し、コミュニケーションも取れず、謎の「水」を身体から零す。そして間もなく死んでしまう。
    安斉家の周囲では植物は枯れ、人々は狂い、ついには廃墟と化すという。
    唯一の部外者である蘭の恋人・日比野は、奇妙な冷静さで「水」や安斉の過去に済んでいた町を調べる。(「水」は重水であった。重水ってそういえば何だっけ?と調べちゃったよ。)
    住む町をことごとく廃墟にしたのだろうと咎める日比野に、「私ではなく、娘の体質のせいだ」と安斉は答える。

    大河原家の息子・和夫は安斉の娘・忍とつき合うようになり、忍は妊娠。
    和夫は親に告白し、安斉に謝罪する。堕胎してもらおうとするが、安斉に「君は自分を変えようとはしないのか」「忍を愛していないのか」と問われ、父になる決意をする。和夫役の大窪人衛くんが健気でかわいい。
    布を縒りあわせた太い綱が、水を滴らせ上から降りてくる。臍帯を想起させる。
    忍はその綱を引き絞り、呻き声をあげ、「男」が加勢し、そして出産。
    「よくやった。お前は自由だ」と父は告げ、娘は微笑む。

    制服のブレザーではなく、私服を着た和夫が赤ん坊を抱いている。帰らぬ忍を待っているのだ。
    忍の母は、忍が生まれてすぐ消えたと言う。
    初潮が来るまでは幸せで、以降は苦しみしか無かったと。
    ああやはり。
    和夫の腕の中を覗き込み「もしかして…」と言いかけた日比野を制し、叫ぶ和夫。
    「こんなに可愛いのに!」


    恐ろしいのは、「許さない」と言われた皆が、そう言われたことに対して思い当たる節があるっていうこと。
    独り者の佐久間に「許さない」と言われた蘭には、言い寄った彼をつっぱねたという過去があった。大河原は妻に「許さない」と言われ、蘭との不倫がバレたかと思い自爆。
    町内会を作ろうと働きかけたり、ご近所でBBQパーティーを催したり、うわべは和やかに見えても実は…という。
    でも「呪い」と口に出して行っちゃうと、どうも陳腐に聞こえてしまう。
    そこはもうちょっと、秘すれば花的にやってほしかったかな。


    んでもって、みな安定の役者陣☆どなたも良い!
    伊勢佳世ちゃん、女っぽい~。(キャスト票に「蘭」とあるけど、自分の記憶では「リン」だったんだよね…。「ラン」って言ってたっけ? おかしいなあ~)
    そして!大好きな浜ちゃん、ちょっと嫌味な日比野役もバッチリこなすわー。
    この日はまたまた風邪っぴきで、終演後は直帰。
    できたら感想を語り合いたかったのになあ~。残念。

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    2014/06/13 02:54

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