満足度★★★
「私演劇」じゃなくてもよかった
●「私演劇」じゃなくてもよかった
約4年ぶりのreset-N観劇。
なんだか悲壮感に満ちた感じで
「挑戦している」「苦境を打開しようとしている」
気合が漲っていた。
けど、俺は夏井さん個人やreset-Nの内情には興味が無くて
単純に4年前に観た作品『Rose』が素敵で、
今回時間とお金の都合がついたから観に行ったのだった。
だから、「ヌーベル何とか」という宣言や「私演劇」という新提案は
むしろ無いほうが素直に物語を愉しめたなぁ。
というのが観劇後のストレートな感想。
夏井さんパートを全部カットして、舞台上の
2組のカップル・先生・劇団員の女性だけの物語にしたら……
きっとreset-Nとしては「たいして新しくない」のだろう。
でも、無理して「新しく」しなくてもいいのにって思う。
夏井さんパートがなければ☆☆☆☆☆だった。
フライヤーに「皆さんの期待をかきたてるような
何かを書かなくてはいけない」と書いてあった。
劇中にも「自己ベストを更新してゆかねば」(?)
みたいな台詞があった。
「ベスト」や「期待」は客が勝手に判断するもんやし、
好きなもん好きな時に書いたらええやんって思う。
(フランス寄りの考え)
これまでも、そうやって自らにプレッシャーをかけて
書いてきたのだろうけど、作家の無理してる感に
あまり好感が持てなかった。
ありえないことだけど、「私演劇」という今回の試み自体が
reset-Nの演技だったらトリッキーで気持ち悪くて面白いなぁ。
夏井さんのプライベートは全然違って、
実は離婚していなくて…とか。
でも、そんなことは当然ありえない。残念。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
●「私演劇」をやるなら
この作品の「私演劇」というフレーズが何故こんなにも
気になったのかというと、これを書いている自分自身が
最近「私演劇」ばかりやりたくなって、「演劇」を辞めた
からだと思う。
(さらに、現在ちょうど締め切りに間に合わせるべく新作執筆中)
「私演劇」の世界はけっこうドープで中毒性が高くて
たしかに魅力的。朗読のオープンマイクなんかに出ると
皆「私演劇」である。
交通事故で障害を負って、満足に身体が動かないことを
満足に回らない口で叫ぶ詩人がいて、感動した。
友人にも私演劇ばかりやっている者がいて、
自らのぜんそく治療体験なんかをネタにして劇中で独白する。
なので、俺は決して「私演劇」に否定的なわけではなく
むしろ興味関心があり、「私演劇」好きとして
実は今作を肯定的に観たかったのだ。
でも、なんとなく無理してる感&中途半端感があって、
それほど肯定的に観ることはできなかった。
どうせ「私演劇」とするならば、夏井氏自身が作家を演じ、
劇中に元妻とのシーンまで創り、町田カナさんも出演して
いたら本当にスリリングだったのにと思う。
それは中途半端じゃない。それはヤバイ。それは観たい。
四方を観客に囲まれた中で、本音を言い合うのだ。
夏井さんに興味がなくとも、そこまでリアルな企画なら
期待しちゃう。
でも、そんなことは当然ありえない。残念。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
※俳優陣のプレイ、スタッフワークは大変素晴らしく、
立派で、お金を払うに足るものだった。
特に客演の俳優さんの活躍が目立ち、うっとりした。
2008/07/29 18:01
2008/07/28 22:06
ヤラセ(演出)で全然良いから、俺は上記のようなバージョン
を観てみたいです。
※あ、決して野次馬根性とかではなく。
プライベートを覗きたいわけじゃなく。
フツーに企画として興味深い。