満足度★★
男性バレエダンサーのみによる公演
クラシックバレエでは女性ダンサーのサポートに回ることが多く、活躍のする場面が少ない男性バレエダンサー達による公演で、ダイナミックな男性群舞が魅力的でした。ダンサーは良かったのですが、作品としてはあまり満足出来ませんでした。
『Thread』(振付:篠原聖一)
茶色の衣装と顔を赤と白にメイク猿の社会をコミカルに描く作品で、異なる種族(?)の猿がやって来て、ボスの座を奪い合ったり、温泉でメス猿の取り合いをする様子がユーモラスな振付で踊られました。1曲目だけアフロビートのポップスで、他はクラシックの曲が続くのがアンバランスに感じました。
『KIZASHI』
数分と短く、あまり印象に残るところもなく終わってしまいました。白シャツのボタンを留めず踊る。布のはためきを見せたかった為かシャツがブカブカで、身体のシルエットが隠れていたのが残念でした。
『Patch Work』(振付:島崎徹)
タンクトップとスカート状の生地のついた黒の衣装でロマ系の音楽を中心にした選曲の乗せて踊る作品で、あまりクラシックバレエ的な動きは用いられず、ダイナミックな振付が印象的でした。少々ナルシシズムを感じさせるのが苦手でした。
『ラ・バヤデール第2幕より ソロルのヴァリエーション』
短いソロですが回転や跳躍が多く盛り込まれていて、軽やかな身のこなしに引き込まれました。
『ZERO』(振付:矢上恵子)
零戦に乗る男達を描いた作品で、蝉の鳴き声に始まり、途中からはパイロットゴーグルを身に付け、戦いに赴く強さと悲しみが表現されていました。大袈裟な曲調の選曲と悲劇のヒーロー的な人物造形が安っぽく、センスを感じませんでした。近頃の社会状況を考えるとセンシティヴな題材な割に表現が単純過ぎる様に感じました。