ウソの歴史のツクリカタ 公演情報 お遊びゆにっと【カラマル】「ウソの歴史のツクリカタ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    短時間の中、物語としての起伏をよく詰めたものだなと
    劇団名/舞台名から時代劇コメディを想像していたのですが、
    笑いだけでなくそれなりに物語に起伏のあるお芝居でした。

    それだけに(もう少し時間を増やしてでも)
    物語の主要部分にもう少し肉付け/細部を深堀りし
    舞台上で表現してくれていたら、
    後半の展開で演者さんの熱の入った演技に
    気持ちをかなり引っ張られていただけに
    きっと涙を誘う話になったと思います。
    (元々涙のエンディングなんて狙ってない?)

    あと数少ない殺陣、立ち回り場面など、
    あの小劇場にしてかなりいいものを観せていたと思うので、
    もう少しそういうシーンが欲しかったかな、と(時代劇だけに)。

    ネタバレBOX

    【思った事を箇条書き】
    ・ お芝居の始まりと終わり、被り物衆の長尾景虎/上杉謙信についての
      弁舌と足踏み(鳴らし?)は、かなり劇場内に緊張感を持たせる(引き込む)
      良い演出だと思います。


    ・ (元々笑いを得意としている座組/劇団なのかは分かりませんが)
      序盤から始まる笑いの取り方は「(自分は)ちょっと…」と
      思うものが多かったです。
      (1/3ぐらいしか自分は心から笑う事が出来ませんでした。)

      ・ 時代劇なのに「アイドル」や「現代歌謡」などの
        現代ネタを持ってきたのはどうかと。
        ※ そういうネタも舞台上の雰囲気と合えばいいのですが、
          時代劇部分を真面目に演じれば演じるほど
          どうも合っていなかった気がします。

      ・ 言い間違いのネタなどをあまり引っ張りすぎるのもどうかと。

      自分は、物語の進行に関る形で「単発で出された」笑いネタのみ笑えたかと思います。


    ・ 1時間25分という短い時間の中に、
      ・ 被り物衆の弁舌/足踏み(始まり)
      ・ 物語日常(笑いパート)
      ・ (少ないですが)殺陣、立ち回り
      ・ 物語の転じ(家臣の1人が怪しいと見せておいて、
        実は実兄が黒幕というどんでん返し)
      ・ 物語クライマックス(シリアスパート)
      ・ 被り物衆の弁舌/足踏み(終わり)
      と、よく盛り込んだものだと思います。


    ・ 日常部分の笑いネタには(自分は)あまり反応できませんでしたが、
      実際着物姿にお酒をかけたり
      (他劇団なら水自体なく全て演技で済ませてしまう所、本当に水をかけてしまう)、
      この劇団ならではの演出は良かったと思います
      (そしてそこから派生する笑いネタも面白かったです)。


    ・ あの小劇場の使い方もかなり上手かったと思います、
      日常、見回り、忍びの登場、殺陣、立ち回りなど。


    ・ 刀の取り扱い/その手際について、ボクラ団義の殺陣稽古で
      修行している福田さんを始め、
      その他の方々もかなり良かったのではないかと思います。

      また、刀自体も殺陣主体の竹光ではなく、
      ちょっと上質なものを使っていたのではないか?
      と観ていて思いました(美術刀のたぐい?)。

      こういう小道具やその扱いのおかげで、
      派手な殺陣/立ち回りが少ない本舞台でも、
      上手くその時代感を出せていたかと思います。


    ・ 前半、笑いに時間を多く割くよりも、

      景虎とちよの関係についてその過去などの背景を
      もう少し深堀りして欲しかったです。
      (想像で補え、というのであれば別ですが、
      もう少し実際舞台上で表現して欲しかったかと。)
      
      同様、景虎が家臣の1人に「自分にもしもの事があったら」と手紙を託したり
      (何かを悟っていた?、あるいは心に決めていた?)、

      ちよとの会話で「自分を斬れ」と言ったり、

      といった場面にも、景虎の気持ちをもう少し垣間見えるような表現が欲しかったです。
      (自分が家督を継いだ事への負い目、裏切り者であろうとそのお家を断絶させるなどしては、
      争いが争いを呼ぶだけだ、という景虎の「優しさ」のようなものは見えたのですが…)

      その後、忍び(加藤)に抵抗する事なく景虎は斬られますが、
      「何故抵抗しなかったのか?」
      (単に敵わないと思った、ではなく、斬られようとした理由がある?)
      この部分が、その前段階のお芝居の内容から、
      (自分は)上手く読み取れませんでした。
      (自分より格上の戦術家である、ちよに景虎の名を託したかった?)


      ちよとの関係やら景虎の想いやらがもっと深く見えていたら、
      実際ちよが景虎の代役を引き受ける
      (漫画「影武者 徳川家康」のように、影武者が本人になるという展開)
      部分について、きっと単なる

        景虎→ちよ

      の気持ちの引き継ぎではなく、観客にもその気持ちが伝わり、
      きっと泣けたと思います。


      なにより、景虎とちよの子供の頃からの関係が見えていたら、
      「2人の間には恋心その他があるのでは?」
      など、他の展開についても想像をふくらませる事が出来、
      物語がよりいっそう面白くなったかと思います。

      そういう意味で「もったいない」お芝居だと思いました。
      (あくまでも自分の認識ですが)
      物語部分にもう少し深みとその表現を出せていたら★5つぐらいの
      面白さだったと思います。

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    2014/05/23 22:38

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