満足度★★★
イタリアオペラの王道
南イタリアを舞台に痴情のもつれで人を殺めてしまう短編のダブルビルで、恣意的な設定や解釈の無いオーソドックスな演出による、素直に歌声に酔える王道的な公演でした。
『カヴァレリア・ルスティカーナ』
復活祭の日の1日に起きる、恋の諍いによる悲劇を描いた物語で、キリストを象徴する物が多く登場し、人間の愛欲に溺れる愚かな姿と対比されていました。
歌っている間は正面を向いてほとんど動かない静的な演技スタイルで、歌唱的には良かったものの演劇的な面白味には欠けていました。
『道化師』
道化芝居一座の座長の妻の不倫が一座が上演する芝居の内容と重なり、上演中に妻と愛人を殺してしまうという物語構造が興味深い作品でした。
『カヴァレリア』と同じセットと同じ衣装の群衆を登場させることによって関連性を持たせて普遍的な人間の業を表現していました。演技に関しては動きが多く対比を打ち出していましたが、合唱の人達の演技がわざとらしく感じられました。
両作品ともメインキャストの歌は素晴らしかったものの、オーケストラと合唱のズレが気になりました。
ギリシャの野外円形劇場を模したリアルなセットと緩やかに色や明るさが変化する照明が屋外の空気感を表現していて美しかったです。