満足度★★★★★
SPAC「マハーバーラタ~ナラ王の冒険~」観ました
クセックACT名古屋→福井公演の間隙を突き、うりんこ・平松さんに拉致されての(笑)SPAC観劇ツアー、締めの一品。
客席をぐるり囲む野外舞台。
次から次へと、どこから現れどこへ消えるか分からない、大勢の登場人物たち。
野外劇場ならではの、夕刻から刻一刻と変わる光。
始まった時には薄暗くなってきた周囲が、終演時にはすっかり夜。
メインの出はけを行うバックの森は、照明に照らされつつも、いつしか全てを呑み込むブラックホールに。
抗う事のできない自然、逃れられない理不尽な状況と、それを粛々と受け止める人間の関係に、聖書のヨブ記を連想。
そして、人々はそれでも諦めずに、立ち直る「いつか」を待ち望み、生きる。
神々や英雄の身体から距離を置いた、弁士による台詞が、舞台空間の非現実性を引き立てる。
訓練された身体による、細かい位置まで演出された絵作りの徹底ぶり。
(白塗りのコロスや真白な衣装が、「動く絵画」クセックACTを思わせる。高下駄まで!)
そのくせ細かいお笑いも抜かりなしww
主人公を苦しめた悪神も弟も、全てを許すお約束の大団円で、全ての観客を満足させる祝祭テイスト。
ふだんそんなに演劇を観なさそうなお客さんがたくさん来ていたのが印象的。
スケジュール的には大変でしたが、観れて本当によかった!
これぞ、公共とともにある舞台芸術、と感じられる公演でした。
社会と密接にある芸術。