新 労働讃歌 いたんですね、『トイレの神様』は
※Aキャスト観劇
東京中小企業家同友会に『劇団銅羅』が加盟している事実を初めて存じ上げた。
たしかに法人化する劇団は数多い。その文脈から すれば不思議ではないはずだが、「運送業」「製造業」「清掃業」の業種分けの一つに「演劇」があると思うと、高倉健がアイドル・メンバーを務めるくらい変だ。
もっとも、正確な分類方法で示せば「興業」というポジションになるのだろう。
本作『チャージ』舞台セットは清掃会社オフィスである。その周辺は「エネルギー」「単三電池」をイメージする巨大モニュメント。
パステル・カラーは『劇団銅羅』の得意技であるが、モニュメントについては いわゆる「山羊ビル」と称される都会の商業ビル群に映った。
アトリエ公演『おかしな二人』(女性版)でも拝見したキャストが杉本 遥役 福井 夏紀だ。とても表情センサーが豊富であり、「天然娘」を演じるには ぴったりな役者だと その当時思った。
やや難しい解釈をしよう。
ところが本作『チャージ』だと、22歳の役柄を ふてぶてしく、感情の均一性を保持しながら、その「人間成長」を繊細な身体観により伝えていた。
制服を どう着るか、どうモップで拭くか、どう挨拶するか…。
所詮は管理システムの「決まりごと」をめぐる行動規範に過ぎない。いや、むしろ それすら逆手にとり、「『仕事の意義』とは何なのか?」を、自己コントロール手段である「身体」から、遥の「変化」を形式化していったのである。
個人的には『おかしな二人』(女性版)の「変顔ファン」です。