チャージ 公演情報 劇団銅鑼「チャージ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 新 労働讃歌 いたんですね、『トイレの神様』は

    ※Aキャスト観劇


    東京中小企業家同友会に『劇団銅羅』が加盟している事実を初めて存じ上げた。

    たしかに法人化する劇団は数多い。その文脈から すれば不思議ではないはずだが、「運送業」「製造業」「清掃業」の業種分けの一つに「演劇」があると思うと、高倉健がアイドル・メンバーを務めるくらい変だ。
    もっとも、正確な分類方法で示せば「興業」というポジションになるのだろう。



    本作『チャージ』舞台セットは清掃会社オフィスである。その周辺は「エネルギー」「単三電池」をイメージする巨大モニュメント。
    パステル・カラーは『劇団銅羅』の得意技であるが、モニュメントについては いわゆる「山羊ビル」と称される都会の商業ビル群に映った。



    アトリエ公演『おかしな二人』(女性版)でも拝見したキャストが杉本 遥役 福井 夏紀だ。とても表情センサーが豊富であり、「天然娘」を演じるには ぴったりな役者だと その当時思った。
    やや難しい解釈をしよう。
    ところが本作『チャージ』だと、22歳の役柄を ふてぶてしく、感情の均一性を保持しながら、その「人間成長」を繊細な身体観により伝えていた。
    制服を どう着るか、どうモップで拭くか、どう挨拶するか…。
    所詮は管理システムの「決まりごと」をめぐる行動規範に過ぎない。いや、むしろ それすら逆手にとり、「『仕事の意義』とは何なのか?」を、自己コントロール手段である「身体」から、遥の「変化」を形式化していったのである。
    個人的には『おかしな二人』(女性版)の「変顔ファン」です。

    ネタバレBOX


    キャスト陣が清掃会社・アークビルサービスを訪れ、一定期間?研修してきたらしい。それは久保 健太役 山形 敏之、佐野 美鶴 役 向 暁子 が意気揚々と作業にあたるビューが証明している。



    小中高・教育機関は「働けば、誰かの役に立つよ。」という道徳教科書のようなテーゼを配布する。それは美徳化だろう。
    実際のところ、人を傷つける反キリスト教的職業も存在するし、「崇高な理念」を謳う職業ほどダークサイドだったりする。
    詐欺師の更正ストーリーが本作『チャージ』だ。では、この詐欺師が「世の中で最も卑屈な職業」かといえば、私は ガッテンがいかない。

    それと、脚本・田口 萌が挨拶文で「舞台上に清掃現場を出現させたこのドラマは、実は同時に演劇人達が必死に働く姿を間近で直接目撃できる絶好のチャンスを生んでいる」と述べていらっしゃったが、俳優が舞台に立ち演技するモーションは「働く」ではない。演劇が総合芸術である以上、「働く」ではなく、「仕事」こそがふさわしい単語だろう。
    アフター・トークに出演した株式会社アークビルサービス社長も こうコメントした。
    『劇団銅鑼』とは「お客様に喜んでもらう“仕事”」だと。

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    2014/05/11 00:55

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