仮面音楽祭 公演情報 江古田のガールズ「仮面音楽祭」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    強烈、三軒茶屋ミワ
    客入れの時の選曲が素晴らしく、どストライクにその世代である私は
    井上陽水の艶のある声に溺れ、ちあきなおみの「喝采」に涙がにじんだ。
    こういう歌を良しとする26歳が書いて演出するのか…、と期待が膨らんだ。
    多少強引な展開もあるが、“突然歌い出す”という
    ミュージカルの特徴(?)を存分に活かす設定の巧さに笑った。
    終演後に登場し「小音楽祭」として3曲歌った三軒茶屋ミワが
    今観た芝居が吹っ飛んでしまうほど強烈な印象を残したのは
    いいんだか悪いんだか…って素晴らしかったんだなこれが!

    ネタバレBOX

    舞台はカラオケ店の1号室。
    ドアを開けて出ると喫煙スペース、ぐるりと廊下があり、階段奥にはトイレがある設定。
    この1号室に常連客が来て8名の予約をするが、自分は酔っぱらって帰ってしまう。
    実はここで夜中の12時から朝の5時まで合コンをすることになっており、
    呼ばれた男女8人が集まってくる。
    彼女と同棲3年目のニート男(あずましゅん)も参加していたが、
    やがて遅れて来た女がその同棲相手(相良康代)だったことから
    合コンは一気に険悪な雰囲気になる。
    そして乾杯の酒が入ると、参加者の仮面が徐々に剥がれて行くのであった…。

    重大(?)な局面になると歌が始まるのだが、
    場所が場所だけにマイクも照明も自然で、流れに違和感がないのが妙に可笑しい。
    同棲カップルの鉢合わせでいきなり本音モードに入ってからはテンポも上がる。
    化粧が落ちたり落としたり、素顔も本音も露わになって互いを攻撃したりする。
    “昔はJJのモデル、今はお仏壇のはせ○わのモデル”(清水ひとみ)とか
    “池袋のヘルス嬢”(荒弓倫)とか、それぞれのバックグラウンドにも悲哀がにじむ。
    みんなさんざん嫌な部分やダメダメなところを晒したあと
    朝になるとまたけろりと自分の日常へ戻って行く。
    そこが何ともいいんだなあ。

    タンバリンを持って歌う男(佐川誠)、歌も上手だったし
    (タンバリンをあんなに上手に叩く人初めて見た)力の抜けた風体も○。
    店のバイト(熊野利哉)が沢田研二よろしく宙を舞う演出など、
    サービス精神にあふれていて楽しい。
    役者陣は皆達者で良かったが、歌に関しては
    本編の後の三軒茶屋ミワ(山崎洋平)に持ってかれた感じ。
    シャンソン3曲目の「ミロール」では、その複雑で豊かな表現力に圧倒された。
    26歳でこんな人生の悲哀が歌えるものなのかと思った。

    選曲や冒頭の映像の使い方などがセンスを感じさせる。
    カラオケや懐メロを扱ってダサくならないのはこのセンスが洗練されているから。
    ただもう少し台詞を絞ったらもっと効果的かなと思う部分があった。

    あるインタビューで、山崎洋平さんがご自分の原点について
    「WAHAHA本舗と美輪明宏さんです」と語っていたが
    まさにその両方を目指しているのがとても良く解る舞台。
    シリアスな人生の苦みを踏まえた上で、あえて笑い飛ばすスタンス。
    彼の笑いには深い観察眼があって、それが台詞と間に表れている。
    シャンソンは、そんな作者にぴったりな音楽表現だったのだと思う。

    一部の芝居と二部の歌(8:2くらいだけど)というのは、
    なんだか演歌歌手の公演みたいだが
    作者山崎洋平全開、彼の「娯楽」が100%伝わる最強の構成であると思う。


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    2014/04/19 00:49

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