ケンゲキ! 宮沢賢治と演劇 公演情報 シアターオルト Theatre Ort「ケンゲキ! 宮沢賢治と演劇」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    テーブルの上の銀河鉄道
    劇団単体で宮沢賢治演劇フェスティバルを行うという企画もユニークだが
    切り口を「銀河鉄道の多様性」と「賢治の言葉の音楽性」の2つに絞ったのが鋭い。
    演劇と宮沢賢治の関わりを端的に表していると思う。
    白木の長テーブルに並んだ食事の支度が美しい。
    ミートローフやマッシュポテト(に見えた)、水、りんご、ミニトマト、皿とナイフとフォーク。
    その周囲にレールがめぐらされ、おもちゃのSLが、かたかたと小さな音を立てて走る。
    三方から囲んだ舞台奥には天井から白い布が流れていて、
    まさに天の川という見立てに相応しい。
    東北の豊かな恵みを食卓にのせ、自分はそこを鉄道で走り抜ける…。
    死を問い続ける賢治を乗せた、はるか銀河への旅である。

    ネタバレBOX

    「青森挽歌」が挿入されたことで、“友人の死を受け入れる”ジョバンニの苦悩に加え
    “死を選択した”カンパネルラが、死とは何かと問う悩みが深くなった。
    ジョバンニを演じる八代進一さんのすっきりとした軽い立ち姿が
    シリアスな命題を際立たせてとてもよかった。

    “カンパネルラは君を助けるために死んだ”と級友から言われたザネリは
    “彼は力がなかったから手を離してしまったんだ”という意味のことを平然と答える。
    「最後にお父さん、お母さんと言っていた」とまでザネリに言わせている。
    カンパネルラの犠牲的精神と、ザネリの利己的な態度を対比し強調することで
    作者の北村氏自身が「本当のこと」を突き付けてくる。
    この創作を喚起するのは、やはり原作の豊かさ大きさという気がする。

    鳥捕り(舘智子)とサソリの話をする女(藤谷みき)が面白くて良いバランス。
    客席の近くまで来て演技することが多かったので
    全員衣装の布の美しさがよく見てとれた。
    照明もドラマチックできれいだった。

    「カンパネルラ!」とジョバンニが叫ぶと、やっぱり泣いちゃうんだなぁ。

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    2014/04/14 01:20

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