天月-あまつき-美声力!この回でよかった
フィギュア・スケートは「オペラ」に似ている。
テノール歌手・秋川雅史 さんは スケーターが氷上でトリプルアクセルするテレビ中継を観ると、歌い手として「ハラハラ」心配するらしい。
「オペラって、“見せ場”は最後の最後に あるんです。
オペラを鑑賞された方は分かるかもしれませんが、それは一番、高い音域です。
しかし、歌い手は それまでに体力を消耗し切っているため、高い音域は辛い。それがオペラの美学といえます」
「フィギュア・スケートを観ますとね、最後の最後にトリプルアクセルなどの 最も難易度が高い技を披露しなければならないんです。
これが“共通点”ですよ」
2月14日、鎌倉芸術館で開催された『秋川雅史コンサートツアー ~夢の架け橋~に』を拝見させて頂いたが、当時はソチ冬季五輪の真っ最中。夜更かしされたのか、風邪が治りかけの秋川さんは鼻声ながらに語った。
フィギュア・スケートは「技術点」「芸術点」の合計得点に基づく競技である。
課題曲すら判定に影響する競技ゆえ、スポーツなのか疑問視する声も存在するが、リンク全体に漂う張りつめる空気を屈せず、秋川さんのいう“見せ場”を披露する選手たちには「シュー」の面影がない。
「朗読劇」は 演劇に比べればランクが低いものだと考えていた。
それは、『劇団EXILE』が青山劇場で行った その番外公演と題し、「新宿シアターモリエール」にて「朗読劇」を開催するという情報で確信したのだった。
劇団からすると人気劇場ではあるものの、稽古期間を設けることの叶わないEXILEメンバーだから、費用対効果、観客側の期待度、商業的インパクトを算出した結果、「新宿シアターモリエール」に設定したのだろう。チケット料金も安価である。
ところが、そうした「朗読劇」に対する考えを変えてしまった公演こそ劇団麦茶『DAY IN A SUN』であった。
先ほどのフィギュア・スケートと関連するが、何というか、じっくり、リラックスしたまま、余韻を同時に感じることのできる、これは「ショー」だ。