満足度★★
平板な印象
谷崎潤一郎の代表作をオペラ化した作品で、所々で絵的に美しい場面はあったものの、盛り上がりに欠ける様に思いました。
第1幕は暗い空間に屏風、上空にパネルのみのミニマルな美術で、登場人物達の動きも少なく能の様でしたが、物語として平坦で退屈に感じました。
第2幕冒頭ではナトリウムランプの色味を消した明かりの中、回り舞台の上で人形の様に固まった状態で登場し、正面まで来たところで普通の照明となり、カラフルな衣装を着た出演者達が動き出すところが印象的でしたが、その様な演出にした必然性が感じられず、残念でした。
第3幕になってやっとドラマとして動きが出てきましたが、春琴が舞台奥の光に向かって歩くラストで出演者が全員舞台に現れる意味が分かりませんでした。
和風の旋律に不協和音やグリッサンドが絡む音楽が単調で、オーケストラの演奏もズレが目立ち、魅力を感じませんでした。上手舞台と同じ高さの上手に筝と三絃の奏者が座り、オーケストラと音響的、視覚的に分離していて効果的でした。
1曲毎に区切りがあるイタリアオペラの様な作品ではないのに、オーケストラの演奏が続く中で拍手やブラボーの声(いかにも身内なノリでした)を掛けていて、興を削がれ集中して観ることが出来ませんでした。