満足度★★★
「暗闇」を恐れるな
ショッピング・モールの照明は嫌いだ。
ある脳神経学説によれば、商業施設の蛍光色は「消費意欲を高める効果がある」らしく、節電が求められる時代にあっても毎日ピカピカなのは小売業者からすれば それは当然の処置だろう。
健康面に与えるマイナスは「ブルーライト」である。体内時計を狂わせ、身体、メンタルを問わず不調をきたす。
私は、ショッピング・モール等の「見せかけの娯楽」を「ディズニーランド資本主義」と呼んでいる。
日没後の地方都市は、たしかに暗く、寂しく、孤独な街である。しかし、「暗闇」のなかだからこそ、一つひとつの「灯り」が 価値をもつ。
道路を走り、世界遺産『白川郷』へ到着した。
もし、その民家に照らされた「灯り」が米国・ラスベガス市街だったとすれば、誰もシャッターを押すことはしないだろう。
「暗闇の光には価値がある」
それは、「ディズニーランド資本主義」とは違った生き方かも しれない。
不明であった公演場所は地下だった。「中野」からツアーを10分間続けた意図はわからないが、集団で住宅地を歩くのもよい運動だろう。
※ネタバレ箇所
単なる演劇ではない。「リラクゼーション」である。
「ディズニーランド資本主義」反動が若い女性を中心に「サロン・ブーム」を生んだとすれば、その文脈から理解したい公演だ。
「短編集」で、「哲学」と銘打ってるわりには「ライト」であっため、理科室の科学実験を思い出す。
なにかストーリーに基づき「A<B<C」と組み立ててゆくタイプでもない。
上演時間60分強は 「リラクゼーション」される時間に位置付けると適度である。
私は「暗闇」といえば絵本『あらしのよるに』が その「ぬくもり」を教示してくれる代表作だと思っている。
映画作品を 相模原市の小学校で拝見させて頂いたが、「恐怖」と「安心」が 隣り合わせる「平等空間」を よく映し出していた。
作品紹介_ 【あらしのよるに逃げ込んだちいさな小屋の暗闇の中、2匹の動物が出会う。風邪をひいて鼻のきかない2匹は、お互いがオオカミとヤギ、つまり「食うもの」と「食われるもの」であることに気付かない。すっかり意気投合したヤギとオオカミは、翌日のお昼に会う約束をする。合言葉は、「あらしのよるに」。】(Amazon 商品説明より抜粋)
「ヤギ」からすると「オオカミ」は天敵だろう。
喰べられるのがオチである。
けれど、あらしのよる の「暗闇」が、天敵同士に 「友情」を育ませた。20世紀トーマス・エジソン以来、人類が「暗闇」を排除しても 排除しても、未だ どの街にも 「ほのかな暗がり」は残存している。
ただ、「光」は急速な拡大を果たしつつある。
人工衛星から夜間の地球を撮影。
その画像には、日本列島、南朝鮮半島(韓国)、北米大陸、ヨーロッパ大陸、マレー半島などがレモン色に発光する様が記録されている。
例外なく「経済先進地域」が占めるが、同時に「光の地」ほど 現代社会特有の歪みを抱えていることに私は気づいた。