恋に狂ひて 公演情報 横浜ボートシアター「恋に狂ひて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    近代劇の超克は可能か?
    長年、仮面劇をやっている劇団の人形を使った芝居。
    そのため、普通の人形劇でもなく、普通の近代劇でもない。
    人形であり、人形でない。人間であり、人間でない。その感じが絶妙に面白かった。

    また、説教節の深さ、豊かさにも驚いた。

    さらに、船劇場での上演のため、揺れながらの観劇体験というものも他では体験できない面白さがあった。

    作品それ自体から受けた印象は★4だが、劇団が芝居に向き合う姿勢や、そのオリジナリティなどをトータルに考えて★5にしました。

    ネタバレBOX

    人形を使った芝居ではあるが、所謂人形劇ではない。
    役者が人形遣いであると同時に、顔を出して演技もしている。
    その上、説教節ということもあり、近代劇的な感情移入型の演技・発語ではない。
    それらの屈折によって、人形と役者との距離感が絶妙であった。
    人形であり、人形でない。また、人間であり、人間でない。

    これは、長年、仮面劇をやってきた劇団ならではの発展形と言ってよい。

    更に、この人形と役者との距離感の問題は、すべてが古語で語られることによって、観客に伝達される段階で、意味レベルでの距離感のズレが加わる。

    何重にも屈折した表現を観たという印象。
    (ある意味では、ブレヒトの異化効果にも似ているが、根本的に異化とも違う。)

    と言っても、空間演出など、部分部分で、直接的に感受できる素晴らしい幻想が起ちあがる部分もあり、すべてが屈折している訳でもない。
    それは役者の演技においても、感情を排している訳でもないため、人間が強く見える部分もある。
    それらの、ズレと重なりの具合がとても面白かった。

    こういう作品の中に、感情的な人間の内面のやりとりを表象する近代劇の限界を超えるものがあるのだと思う。

    また、説教節の深さも痛感した。
    人間の愛憎、罪きせ、誤解、、、、身分差別、復讐、、、
    多様な読みが可能な、豊かな世界。
    最後に、登場人物皆が死ぬことで、それまでの価値観が反転する(すべての者のが平等になる?)という部分も凄いものがあった。

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    2014/03/11 23:58

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