満足度★★★★
あおきりみかん「発明王子と発明彼女」観ました
久しぶりに、外観も内面的にも、現実離れした世界観のあおきり舞台。
とはいえ、SFモチーフを使いながら、『よく聞く』のように、精神の存在の仕方にも深く切り込もうとしている。
ただ、話にいまいち整理がついてない印象。
SF的な設定が分かりにくい、というか一般的な観客には伝わりにくいのでは?
(私は相当なSF者だけど、かなり処理しにくかった…)
虚実・時間を隔てた存在・愛(カレル・チャペック『R.U.R」』、フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』)など、扱う要素はあおきりととても相性がいいと思う。
ので、主人公「たち」の位相の違いを伝えるような、作劇ともっとつながりを感じさせる扱いや、全体を見通せる伏線が、もう少しほしかった。
(たぶん、演出で)
その伝でいくと、キャラメルボックス(『クロノス』)とかは、じつはかなり高度な消化ができてるのだなあ、と再認識。(決して趣味ではないけど)
親切設計の重要さ。
演技は、主役が序盤ちょっとどうかと思ったけど、全体的にはよかった。
若手がメイン、ベテランが脇を固める体制は、長期展望の上で重要。
あおきりは、そういうところで足元を大事にしているといつも思います。
美術は申し分なし。あのゴチャっとしたコクピット感は落ち着くなあ。(ただ、あの紐が~~~。。。)
役者陣のガチャガチャ感と相まって、もっと作品全体にギミック感を活かせそう。
じつは、日曜13:00の回のあの「探す」シーンが、すごく見応えあった。
(たぶん想定外)。
狭いコクピット内を何人もがダマになって動き回る様子は、スラップスティックとしてもっと名シーンになりそうな予感。
そのセットを挟んで立つ、「あの二人」のミザンスも絵的にいいw
(何者かは、観ればわかるww)
全体的に、やや時間が足りなかったのかもしれないけど、観せ方自体はやはり、安定感があって楽しいあおきりみかん。
名古屋・宮崎公演を終えて、これから東京・大阪公演。
お忙しいでしょうが、さらなるブラッシュアップを期待します!