満足度★★★★
グレードアップ
何度も再演されている作品で、2011年のタイニイアリスと学習院女子大学での公演を観たことがありますが、出演者数が増えて美術や照明も立派なものになり、作品として進化していました。
基本的には過去に観たものと同じでしたが、中央に一段高いステージを設けて床下から人や小道具の出捌けをしていたこと(トラムはステージ下に奈落があるので、床を上げなくても同様のことが出来ると思いましたが)と、最後に『夏の夜の夢』のパックの後口上が引用されていたのが新たな要素の中で印象に残りました。
ストーリーが分かっていて、しかもベタな内容なのですが、終盤の展開にはやはり心を動かされました。
個人的にはハイテンションで騒がしかったり、児童劇みたいにわざと子供っぽく振る舞う演技は苦手で、この作品もその様な要素が非常に多いのですが、それを気にさせずに物語の世界に引き込む手腕が見事だと思いました。
小劇場演劇は公演の度に新作を発表するのが一般的ですが、この作品の様に何度も再演しながら更に良いものへと育てて行く方法を取るのも価値があると思いました。