満足度★★
演技力を見せるストレートな演出
蜷川さんの得意技であるケレン味を効かせた表現は控え目で、役者達の演技をストレートに見せる演出となっていましたが、物語としては理解も共感もしにくかったです。
妹を亡くしたのを機に暴君と化していく皇帝カリギュラの孤独な心境を描いた物語で、残虐でありながらどこかしら純粋さを感じさせるカリギュラの姿が印象的でした。
前半は終始シリアスな雰囲気で進行し、休憩後の場面は雰囲気が変わってコミカルになっていましたが、中途半端であまり笑える表現になっていなくて、異化効果としてもあまり機能していない様に感じました。最後のシーンは蜷川さんが他の作品でも良く使っている手法で、その効果よりも既視感を強く感じてしまいました。
若い役者ばかりの劇団ですが、叫ぶ台詞も聞き取り易く、老け役を演じていても違和感が無く、実力を感じました。カリギュラを演じた内田健司さんの繊細な存在感が魅力的でした。
三方囲み舞台で、上空には大きなシャンデリア、奥の壁は鏡張りの黒い空間に、カリギュラは白、他の人は赤で、年齢に応じて皺加工が施された衣装が映えていました。
効果音と音楽の使い方が説明的で、好みではありませんでした。