満足度★★★★
宗教の不条理が胸に痛い
高校時代、歴史で十字軍のことを習った時が、自分が、キリスト教に懐疑的な思いを抱いた最初の瞬間だった記憶があります。
それでいながら、息子達は、キリスト教の幼稚園や学校に通わせたのですが…。
どんな宗教にも、表向きな崇高さと、内実の、汚れた権力争いなどが、相反して存在するのだと思います。
そういった、宗教世界の不条理が、少年十字軍の子供達の体験を通して、冒険ファンタジーのような味わいで、舞台化された作品でした。
私は、大好きな山本芳樹さんがガブリエルを演じるFluctusチームの方を観劇しましたが、サルガタナス役を演じた松本慎也さんと、二役交互のダブルキャストの意味が、後半で合点が行き、こういうキャスティングのアイデアも含め、大変よく練られた作品だと感心しました。
ただ、ストーリー展開が、前半、冗長だったことと、一部の役者さんの滑舌が悪く、台詞が不明瞭な部分が見受けられたことは残念でした。
エティエンヌ役の藤森さんに、、少年十字軍を率いるリーダーとしての透明無垢な存在感があり、まるで、羽生選手のような爽やかさだと、観ていて、気持ち良さを感じました。
松本さんのサルガタナスにも、凄味があり、良い役者さんに成長されたなと嬉しくなる思いがありました。
ベテランの役者さんには、曽世さん初め、安定感があり、若い役者さんには、将来性があり、この劇団は、今後も安泰だろうと感じさせられました。