少年十字軍 公演情報 Studio Life(スタジオライフ)「少年十字軍」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    宗教の不条理が胸に痛い
    高校時代、歴史で十字軍のことを習った時が、自分が、キリスト教に懐疑的な思いを抱いた最初の瞬間だった記憶があります。

    それでいながら、息子達は、キリスト教の幼稚園や学校に通わせたのですが…。

    どんな宗教にも、表向きな崇高さと、内実の、汚れた権力争いなどが、相反して存在するのだと思います。

    そういった、宗教世界の不条理が、少年十字軍の子供達の体験を通して、冒険ファンタジーのような味わいで、舞台化された作品でした。

    私は、大好きな山本芳樹さんがガブリエルを演じるFluctusチームの方を観劇しましたが、サルガタナス役を演じた松本慎也さんと、二役交互のダブルキャストの意味が、後半で合点が行き、こういうキャスティングのアイデアも含め、大変よく練られた作品だと感心しました。

    ただ、ストーリー展開が、前半、冗長だったことと、一部の役者さんの滑舌が悪く、台詞が不明瞭な部分が見受けられたことは残念でした。

    エティエンヌ役の藤森さんに、、少年十字軍を率いるリーダーとしての透明無垢な存在感があり、まるで、羽生選手のような爽やかさだと、観ていて、気持ち良さを感じました。

    松本さんのサルガタナスにも、凄味があり、良い役者さんに成長されたなと嬉しくなる思いがありました。

    ベテランの役者さんには、曽世さん初め、安定感があり、若い役者さんには、将来性があり、この劇団は、今後も安泰だろうと感じさせられました。

    ネタバレBOX

    前半なかなかガブリエルが登場せず、お預けを食ったような気持ちになりましたが、藤森さんや田中さん、宇佐見さん等、若手の役者さんの健闘ぶりが、爽やかで、芝居自体に厭きることはありませんでした。

    「神はおわさぬ」と悟ったガブリエルは、最初、虚無的ですが、少年達のひたむきさに打たれ、やがて、自分の居場所をみつけるような終盤のストーリー展開が、やや感動的でした。

    彼は、きっと作者がハムレットをモチーフにして造形したのだと思うのですが、せっかく、それまでは、戦いに否定的だったのに、最終的には、王国を取り返すためには戦いも厭わないと変心する流れで、これにはちょっと抵抗を感じてしまいました。何だか、積極的平和主義の宣言に似ていて…。

    自分はもう歳だからと言うフルクの台詞に、「40代は歳か?」とカドック役の曽世さんが突っ込むのは、葛西選手の活躍を想起させる遊び心の演出でしょうか?そうだったら、さりげない挿入で、センスが良いなと感じたのですが…。

    松本さんのガブリエルの方も、拝見してみたくなりました。

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    2014/02/20 20:27

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