ブラック西遊記~ステッピン・イントゥ・ユア・ダークサイド・ワールド 公演情報 X-QUEST「ブラック西遊記~ステッピン・イントゥ・ユア・ダークサイド・ワールド」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    素朴な疑問「横方向の殺陣と四方八方の殺陣ではやっぱり後者が難しいのかな?」
    王子小劇場の標準形なのか、X-QUESTさん用に特別に組んだのか、
    今回の舞台はまさに「リング」でした。
    (四方を観客に囲まれたリング、ロープはないけど)

    四方を囲まれたリング上、演者達はどうやって
    場面転換などやってのけるのだろうと思ったら
    前説(スピーチ)にあった「リングサイドを演者が駆け巡る」の通り、
    まさにリングとそのリングサイド(観客目の前)+角2つの出入口を使って
    場面場面演者がリングに飛び上がり、のしあがり、そして飛び降りの
    まさにプロレスのようなシーンの転換ぶりでした。

    リングコーナー脇で次の出番を待つ演者
    (もう観客のほんとお隣りさん状態)に、
    何かプロレス全盛期の懐かしさすら
    感じるものがありました。

    そして、4面すべての客に伝える演技と、
    どの面からでも迫力の伝わる四方八方の殺陣/ダンス

    ※ 多分ですが100分中60分は殺陣とダンスの繰り返しだったかと、
      いやはやすごい体力です。

    そしてX-QUESTといえば空想や(誰かの)思考世界を描くような
    ちょっと現実味を離れた舞台、というのが僕の印象だったのですが、
    ファンタジー色/パラレル要素など
    その特色は今回も健在でした。

    「筋ではなく目の前で繰り広げられる展開を
    そのままに受け止めるのがX-QUESTの楽しみ方」
    と自分は思っていましたが、
    今回はその「筋」の面でも一本太いものを通してきたので大満足です。

    ネタバレBOX

    ブラック西遊記の最初のCMチラシなどで
    「ちょっとダーク色の強い悟空の表情」から、
    西遊記を背景として「まったく異色の物語」をやるのかな?
    と思ったら、今回はベースはストレートに西遊記、

    それでいて物語はその中に実際あってもおかしくないような
    別日譚(うまい言葉が見つかりません)、

    それもまさにメイン/サブタイトルどおり
    「ブラック西遊記 ステッピン・イントゥ・ユア・ダークサイド・ワールド」
    だったのに驚きです。




    まず入場して驚いたのが、「会場がリング!」
    (四方八方を囲む劇場といえば青山円形劇場がありますが、
    あそこともまた違った本当に四角い劇場内中央にリングをドーンと置いた形)、
    そこを囲むように観客席が並び、
    まさに「リングかぶりつき」状態で観客が並びます。


    西遊記、という事はこのリングの上でX-QUESTのあの途切れる事のない
    アクションが展開していくのだな、という所までは想像できたのですが。。。




    物語は
    ・ 人はまだなく
    ・ 天と地がひとつ
    ・ 石の中から生まれた斉天大聖 孫悟空
    ・ その悪事からお釈迦様に石の中に閉じ込められて
      50年(この時点で500年でしたっけ?)
    ・ 世乱れる時その世を正す為の聖なる書物を取りに旅する
      三蔵法師との出会い

    から、飛んで
    ・ 沙悟浄、猪八戒と全員集合し、
      金角・銀角を相手に大暴れ
    ・ 四聖獣(はフィクションなのかな?)の出現
    とここまで西遊記の流れで進んでいたと思ったら


    ・ 偽(?)悟空、沙悟浄、猪八戒の出現
    と物語がパラレル/ループ展開を始めます。


    「よし、ここからがいつものX-QUEST、
    筋など追わず、あるがままを感じとるぞ!」
    と(妙な)意気込みを持ってお話を追っていましたが、

    ・ まず殺陣がすごすぎる
      殺陣1つ1つの練度/精度については、
      全方位から見られている、という事で
      逃げ場はなく、「粗(アラ)」ととれる部分も
      多少は見えつつ、
      その大立ち回りが総計60分近く続けられた、
      演技だって大変だとは想いますが、
      あれだけの長さのしかも四方八方全角度からの
      観賞にたえるだけの殺陣を続けるのがまずすごい

    ・ 誰の視点かも分からなくなってくる
      パラレル/ループ展開していながら、
      ちゃんとそこに「筋」を立ててきた。

      ぶっちゃけて言いますと、
      今回のすべての原因は
      「天竺へ到着し、悟空と別れる事になった三蔵法師の
      ”別れたくない!まだ旅を終わらせたくない!”という
      想いに起因している」と。
      
      そう考えると西へ向かっての旅に対して、
      西を守る白虎の言動/行動など、
      気づけば分かりやすい伏線が貼られていました。

      そして、(うろ覚えですが)昔TVドラマの西遊記を観た時の感想から
      (天竺まで辿り着いたのか覚えてませんが)
      確かに三蔵法師がこういう思考(煩悩)を持ってしまってもおかしくないな、
      と納得させるだけのものが、このネタバラシをするまでの
      冒険譚の中には感じられました。

    自分の欲ゆえに暗黒面(この辺、ブラックホールやらなんやらもう
    時代考証は不要!とばかりにいろんな単語が出てきましたが)
    に堕ちてしまった三蔵法師をどうやって、
    元の自分に立ち戻らせるか、という物語の最後の見どころ、
    アクションに始まりアクションに終わり、
    そして最後は三蔵法師を斬ったものとして、
    再び悟空が500年、石にされる(というか石のおもしを載せられる?)し、
    再び三蔵法師と出会うという

    ※ あー、でも自分が途中でした妄想だと、最後お釈迦様の目の前で
      「これで旅も終わり」と三蔵法師/お釈迦様が言う所で、
      悟空「次は北でも西でも南でも、どこでもおともしますぜ!」
      みたいな友情エンドをちょっと期待してました(´∀`*)


    演者と観客の距離を出来るだけ近づけて、その演劇の中に
    観客の気持ち自体を引き込んでしまう「体感する演劇」、
    ゆえに「筋」の方はあまり求めないのかな?
    と思っていたX-QUESTさんが、ここまで明確なオチ(三蔵法師のダークサイド堕ち)を
    用意していたくれた事にも驚きましたし、
    普通の舞台会場での横の殺陣だけでも大変だろうに
    まさか四方に観客を置いての四方八方大立ち回り、
    今回は超力作だったと思います。


    PS.TシャツはXLないんですか?全サイズ希望です。
      パンフは帰ってからの楽しみにしたいですね
      (実はこんな話も隠れてた、とか裏話とか)。

      あと写真撮影がなにげに嬉しいサービスでした(´∀`*)
      (他劇団では肖像権その他の関係もあってNGが多かったので)

      今作の出来で、「写真存分に使っていいよ!」と言われたら
      ほんとそれこそ色々と
      (と言ってもツイッターぐらい?)
      アピールして回りたいです。

      観劇後の皆様:
      http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up1/source/up75085.jpg

    2

    2014/02/09 18:04

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  • ぼくも他の方に教えてもらったんですけどね、一歩離れて物語を楽しむ演劇とその演劇に参加してる気分になっちゃわないと本質が見えない演劇、XーQUESTさんは後者かなーという

    2014/02/09 21:56

    はじめまして!読ませていただいてすごく胸がすっとするというかクリアになりました。クエストは大好きでよく観ているのですが、今回の西遊記も、観ていて、あれ?自分が置いてかれた(笑)って感じを何度か味わいました。そうか、その都度その都度を体感すればいいんですね。あまりに勉強不足というのが観劇後にわかったので、楽日のリピートまでに西遊記の文庫を読み直すつもりです(笑)

    また 視点を変えて 楽しんでみます。ありがとうございました!

    2014/02/09 20:08

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