Samurai has come 公演情報 風雲かぼちゃの馬車「Samurai has come」の観たい!クチコミとコメント

  • 期待度♪♪♪♪♪

    遠く離れた紳士同士、スクラムを組む

    『劇団かぼちゃの馬車』は、ここ最近、本多劇場グループでの上演が多かったのですが、第16回本公演は「グリーン・フェスタ2014」に挑む形となりました。

    前回の相鉄本多劇場公演ですと、「リピート割引」の特典を最大限にアピールし、全ての回を観劇した方は なんと「永久招待権」が与えられたとか。実際に 該当する方がいらっしゃったのかは解りませんが。


    物語は、どうやら20世紀初頭のようです。日英同盟締結の直近ですから、1902年より前であることは確かでしょう。

    当時の大英帝国(イギリス)は、今でいうアメリカ合衆国がもつ地位すら上回った覇権国家でした。全世界のGDP(国内総生産)において、その30パーセントを占めた経済貿易立国。
    日露戦争も、大英帝国が日本の国債を購入してくれなかったら、「戦にならなかった」というのが通説ですね。
    戦争前の国家予算が約3億円、戦費が約18億円でした。当時の大日本帝国財政からすれば とても増税のみでは戦費を賄えませんね。大英帝国やアメリカ合衆国などから約8億円を調達できた結果、そのお金で最新鋭の艦船を調達し、列強・ロシアと戦争することも可能だったわけです。


    ですが、『劇団かぼちゃの馬車』は、こういった国際政治ではなく、スポーツの友情を描く舞台なので、あまり知識はいりません。
    その競技とは、“ラグビー”。
    アメリカンフットボールの原型ともいわれ、現在でも、イギリス連邦に属するオーストラリアやニュージーランドでは国民的スポーツとして親しまれています。


    あらすじを読みますと、次の映画を思い出しましたね。
    ドイツ映画『コッホ先生と僕らの革命』(2011年公開)は、舞台と同じ時代=20世紀初頭にイギリスから帰ってきた英語教師のドイツ人をモデルとした実話です。
    鉄血宰相・プロセインの流れを汲み権威主義的なドイツ社会に、イギリス文化「サッカー」を持ち込んだ奮闘記なのですが、教え子の子供たちが反抗するシーンには、「掟」が溶けていくエネルギーを感じました。

    私が驚いたのは、ドイツ映画でありながら、むしろ100年前のドイツ社会を「特異な目」で観察するところです。サッカーを授業課題へ入れると、名門校の教師陣が苦い顔をする。元サッカードイツ代表・オリバー・カーン選手は この映画を ご覧になったのでしょうか。
    邦画最新作も、『少年H』(2013年 公開)がヨーロッパ大使館の外国人を登場させますが、「特異な存在」は彼らの方でした。つまり、映画の視点が自国民である“日本人”だったのです。
    『ラスト・エンペラー』(2013年 公開)はGHQ民政局将校を主人公としていましたが、こちらは渡辺謙さん出演でも、ハリウッド映画ですから当然の視点でしょう。



    そう考えると、ドイツ映画がイギリスに長く勤務したドイツ人を「民主主義を理解した男」=半外国人として扱い、この視点から自国民である“ドイツ人”を観察する構図は新鮮でした。



    『かぼちゃの馬車』では、ラグビーの試合を挑む日本人を描くわけですが、仮に視点が「大英帝国に見ず知らずの東洋人がやって来た!」だったなら、これは大正期の舞台作品を作り替える力があります。













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    2014/01/24 01:47

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