独り芝居『審判』 公演情報 多田直人案「独り芝居『審判』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    生きることと人間であること
    重かったし辛かった…が、すごかった。
    多田くんの顔が、どんどん多田くんに見えなくなっていきました。
    鳥肌立ちましたし、鳥肌以上に、身体が震えました。
    怖かった。
    多田くん以外では、この演目を観たいとは思わないだろうなと思いました。
    「私は皆さんの審判を待っています。」と言われても、私には裁けません…。
    ただただ、この戯曲を知ったことが、観に行ったことに意義があるようにも思います。(参加することに意義がある。)
    アンドレイ・ヴァホフになった、多田直人さんは、すごいと思いました。

    ネタバレBOX

    価値観の違う場所で培われた常識は、そのコミュニティの中でしか有効ではなく。
    その価値観は、環境や状況に左右されて成り立つであろうことを考えると…全員が辛い…。
    統一見解なんぞ、出る余地もない。

    ヴァホフが「ルーピンの介護をしたい。」と言ったのは、あの体験を共有できたのは彼だけだし、その気持ちを理解できるのは、やっぱり彼だけだと思うし、ルービンが嫌悪の視線にさらされて世話されるよりも、自分が傍にいるという選択肢は、至極納得のいくものでありました。
    また、「できればまた兵士に戻りたい。」と言ったのは、人肉を食べてしまった自分は、この世界に居場所はないと感じたのではないかと思いました。
    言い方がすごく難しいけれど、自分が人ならざるものになったと理解したヴァホフには、人ならざるものになる世界(戦争)に行くことが、唯一の彼自身の居場所だと感じて選択したのかな?と思いました。
    そこまでの冷静な選択が出来る正気を保っているなら…それはそれで怖いような。

    ヴァホフが、もし正気だったら…。
    でも、あの状況で発狂しないでいられるというのは、どれだけ大変なことでしょうか?
    いっそ死んだ方がマシと、思うのは、間違いなんでしょうか?
    なんとも言えない悲しさと悔しさとうちひしがれ感を感じる2時間10分でした。
    観てる観客のほうが発狂しそうな舞台は初めてかもしれません。
    観てる方も疲れ果てました。

    すっごく、考えさせられる舞台という意味では、いい作品、いい脚本なのでしょうけれど、辛すぎる。

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    2014/01/23 12:42

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