満足度★★★
儀式的な音楽パフォーマンス
劇場内で開催されている現代アートの展覧会の中での音楽パフォーマンスで、演劇的ドラマトゥルギーは無いものの、展示作品を演奏に取り込んだり、曲毎に照明や立ち位置を変化させたりと、単なるコンサートではない、舞台芸術としての側面を持った公演でした。
形式や音が確定されている楽譜ではなく、単純なルールに則って即興的な要素を含みながら声とピアニカを中心にして展開し、旋律は無く、音の響き自体を聴かせる内容でした。
特に宗教的な表現をしようとしているのではないのですが、音楽が元来持っている宗教儀式の様な雰囲気がありました。
グランドピアノの表面を削って木の地肌を露にして全ての角を丸く処理した、青田真也さんの作品を普通に弾くだけでなく紙ヤスリで擦って演奏し、その作品の制作過程とリンクさせていたのが興味深く、音響的にも面白かったです。
録音された磁気テープを球に巻き付け、読み取りヘッドの上を転がすことによって音を発する、八木良太さんの作品も違和感無く演奏に用いられていて、神秘的な雰囲気が出ていました。
終盤で演奏されたリズミカルな曲で奏者の1人がアフリカンなステップでリズムを刻むのが印象的でした。
チラシには「インスタレーションと音楽・ダンスの競演」と書いてありましたが、踊られるのは1曲だけだったのが物足りなかったです。