満足度★★★
能とクラシック音楽の併置
伝統音楽や能とオーケストラとのコラボレーションの公演で、ユーモアのある司会者がいたこともあって敷居の高さを感じさせない内容でした。
第1部は尺八、箏(13弦&25弦)、弦楽オーケストラによる演奏で、1960〜70年代によくあったような前衛音楽としての邦楽器と洋楽器のコラボレーションではなく、平明な聴き易い曲ばかりで気楽に楽しめました。
第2部は能の『鉢木』を、通常の上演形態にオーケストラの演奏を付加する形で、敢えてお互いが歩み寄らずに自らの領分を粛々と勤めることによって独特の雰囲気が醸し出されていて興味深かったです。
パーシケッティ、シェーンベルク、メンデルスゾーンの弦楽オーケストラ曲を抜粋で用いていて、前半では囃子方や地謡が演奏している時にはオーケストラは演奏しない構成になっていたのですが、終盤では異なるテンポで同時に演奏し、複雑に絡むビートが高揚感を生み出していました。
ミニマルな能とロマンティシズムが濃厚なシェーンベルクの『浄夜』が意外と合っていて、まるでオペラの一場面の様でした。
照明を用いて夜に降る雪や木を燃やして起こした炎が表現されていましたが、そこまでする必要はないと思いました。
所々で変な共鳴音がしていたのが気になりました。