満足度★★★★
世間
昨年9月に新宿ゴールデン街劇場でアフリカン寺越企画によって上演された脚本を
リニューアルしてスケールを大きくしたというもの。
主演のアフリカン寺越は相変わらずの熱量で隙のないなりきりぶり。
新聞店に住込みで働く男の部屋を舞台にした前回の閉鎖的な設定から
一階店舗部分と二階居室部分に分かれた舞台、
登場人物も5人から11人に増え、確かに規模は大きくなった。
増えたのは“世間”の人数である。
個人的な好みと、前回公演を観ているという事情もあるのだが、
あの極小空間での濃密な“行き場の無さ”が拡散してしまったように感じた。
例えるなら、前回公演は岸を削るような急流だったが
今回は川幅が広くなった分流れが緩やかになった印象。
しかしこの重いテーマを、直球ストレートでど真ん中めがけて来る感じが素晴らしい。