来た!
学生サークルは新陳代謝が激しいのです。尚且つ、一度崩れるとそのまましばらくは回復困難に陥ってしまう。個人的にここ数年の立教劇研は正にそれ。2004年~2005年序盤くらいまでは非常にレベルが高かった。「まさか学生がここまでやるなんて」と崇拝にも近い気持ちを抱き、しかしながらその後に低調の時期を迎えてしまいました。が、ここに来て一気に快方に向かった感があります。というか自分が見逃していた間に回復してたのかも。あー、観ておけばよかった。
田舎の美術館にある美大生が訪れる。その場所はかつてある画家の使用したアトリエを模した作りで、彼はその画家を敬していた。彼はそこで管理をする老女と、目の見えない女性に出会う。なんか変なテンションのおじいさんとかにも出会う。語られて明らかになっていく、過去。
まず脚本の安定感。単に台詞を並べたのではなく、物語を紡がせるに必要な言葉を使うのが上手い。つまりは構成力の確かさ。あの人物の存在がいつの間にかファンタジーっぽい要素になっていたのにはちょっとした惜しさも感じるのですが、それでも。欲を言えば笑いで盛り上げる場面はもっと少なくてもよかったかな。充分に演技で観続けていられたので。カロリーカット。演出としては正面の向かせ方がちょっと気になった。対話の相手ではなく客席を向かせる場面がチラホラ。ちょっと役者にもこなしきれてない感じが。
とはいえ達者な役者陣。今まで何処にいたのかと思うほどの達者振り。自分が見逃していたここ1年半くらいの立教劇研の公演に出ていたんでしょうか?あれで『新入生でみんな1年生』とか言われたら、おじさんビックリしてぶっとびます。配役も適切。全ての人がその役で魅力と実力を見せ付けるに至っていました。個人的にはハルコを演じた高橋沙代子さんがお気に入り。いや、決して美人だから惹かれただけではないです。それもあるけど。照明の当たり具合や座る席の位置的に客全員が確認出来たか定かではないものの、クライマックスのその時に彼女の瞳から大粒の涙が落ちるのを見ました。ゲンジツパビリオンを主宰する阿部征暢さんの器用さもGOOD。テンションで場の雰囲気を持っていく役どころでしたが、間逆の役も出来そう。そもそもあれだけ叫んでいるのにちゃんと聞き取れるし疲れを感じさせないのが凄い。