ア・ラ・カルト2 ~役者と音楽家のいるレストラン Final 公演情報 こどもの城劇場事業本部「ア・ラ・カルト2 ~役者と音楽家のいるレストラン Final」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    四半世紀が過ぎた実感
    この企画も今年で25年、青山円形劇場の閉鎖に伴い、今回が最後と言うので、久し振りに出かけた。

    私は第一回から数回観ている。

    90年代初頭に小劇場劇団の活動を紹介する仕事をしていた時期に、遊⦿機械/全自動シアターの芝居を観て、私の現代演劇アレルギーが払しょくされたともいえる。

    ご贔屓劇団の劇団員から偶然「遊⦿機械/全自動シアターが好きだった」と聞くと、そういう好みをいまも引きずっているのかもしれない。

    白井晃・高泉淳子のコンビが私は大好きだった。

    高泉との方向性の違いからか、白井晃、陰山泰も年一回は出演していたア・ラ・カルトからは外れてしまって久しい。

    白井晃はもう売れっ子演出家・俳優で、昔のように女装しておバカなコントなんかやれないのかもしれないが、私は小さな劇場で公演して終演後も出口でペコペコお辞儀していた二人の無名時代を懐かしく思い出しながら今回も観ていた。

    二人が別々の活動をしていても、この作品だけはライフワーク的に二人一緒に25年が迎えられたら、もっとよかったのにと思わずにはいられない。

    「ア・ラ・カルトはマンネリ」という声も含め、ネットでの高泉への批判を私も読んでいたが、才能ある人だけに、白井晃と組まなくなってから、普通の演劇活動からは遠のいてしまったのは残念。

    出てくるキャラクターや構成は変わらないのに、初期の頃の若い観客ばかりで会場が揺れるような爆笑は消え、みなおとなしく観ているのが歳月を感じさせた。

    中西俊博のヴァイオリンだけはずっと高泉に寄り添ってきたのが忘れられない。

    ネタバレBOX

    私は高泉演じるところの「見栄っ張りで、背伸びしてもワインの知識がスカスカ、でも、愛すべき人物のおじさん」タカハシさんが好きだ。

    彼女の繰り出すエスプリのきいた皮肉っぽいギャグが私にはツボである。

    それは宇野千代のパロディと言われた老女役にもいえる。

    「年をとること」に笑いをちりばめ、力を与えてくれる。


    インテリ女史風の中年女性は、どこか有吉佐和子風の才女である。

    相手役を務めた中山祐一朗が若き日の白井晃の面影を感じさせた。

    ゲストの春風亭昇太へのさりげなく鋭いつっこみも笑いを誘う。

    彼がトランペットがうまいのには驚いた。

    高泉の歌唱力を「素人の自己満足」と酷評する人も少なくないが、たしかに彼女は女優であり、歌手ではない。

    「歌舞伎俳優の踊りと日本舞踊家の踊りは違って当然で、歌舞伎俳優は技巧的にうまく踊るだけでは意味がない」と言われるが、「ア・ラ・カルト」にも同じことが言えると思う。

    歌っている高泉が魅力的ならそれでよいのである。


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    2013/12/19 14:45

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