満足度★★★
池袋シアター・グリーンは,懐かしい場所だ。
池袋シアター・グリーンは,懐かしい場所だ。そこで,夢中になった演劇が,とりあえず多くの観劇を引き起こしたからだ。
ゴーリキの『どん底』は,原作を読んでとても暗い。演劇史の中では,群を抜いて有名なのだが,是非一度は観ておきたいと思いながらチャンスがなかった。
舞台を敗戦後の日本に移していた。その点ではなんとなく入りやすかった。姉には夫がいるがうまくいっていない。愛人がいて,自分の妹を与えて,夫殺害を依頼する。
ゴーリキの作品は,チェーホフの影響を受けていて,確かに「行動」らしきものがない。貧乏長屋で酒をダラダラ飲んでいる。酒をやめたという,元俳優の姿が見えないと思うと,裏の小枝で首を吊っていた。なんだか哀しいお話だった。
会場はほぼ満席。私もかろうじて,当日券を獲得できた。原作に深く共感し,人生の悲哀を感じる。そういう人たちが結構いるということなのだろうか。