しどろオムライス 公演情報 劇団しどろもどろ「しどろオムライス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    先鋭的学生演劇。デミグラス編を鑑賞
     お初の学生演劇でここまで良質なものが観られるとは…。
    眠れぬ夜などにたまたまEテレあたりでやっていて、思いがけぬ面白さについつい最後まで見入ってしまう先鋭的なコント番組をさらにトガらせたような短編オムニバス公演。
    短編集で内容はまちまちながら、どの話も熱を帯びすぎることなく、全体が抑制の効いたクールなトーンでまとめられているのがいい。“みな若いんだし、もっと熱い芝居をやりたくならないのか?”と少し不思議に思いながらも、抑えめの演技でしれっと笑わせにくる作風はもろに好みで、最後までにまにましながら観入ってしまった。

    ネタバレBOX

    先に「先鋭的」と書いたが、10本の短編のうちそれが最も極まっていたのが、演劇の約束事が次々破られ、何重構造にもなったメタ演劇が展開していく「安藤の世界」。
     こういうものには時々出くわすが、メタ演劇をここまで突き詰めたものはかつて観たことがなく、今公演で最も気に入った。
     最後は出演者全員が自分の出ているメタドラマに翻弄されて発狂するに至るが、仮にテレビのコント番組で同じような試みがなされても、“視聴者がついて来られないのでは?”との危惧からここまでは絶対にやらないだろうし、多層構造もせいぜい三重構造程度にとどめるに違いない。
     しかも、単に野放図なだけでなく、中盤、ある人物から「そのうち私は心を失った」という凄いセリフが比喩としてでなく、それもさらっと発せられるなど、観客をハッとさせるシーンも相次ぐ。
     当公演がどんな先端的コント番組よりも過激だと書いたのは、このような意味においてである。
     二番目に気に入ったのは、現実世界がゲーム内の仮想世界に取り込まれていくブラックコメディ「Bluetooth」。
     ゲーム内の一キャラクターがゲームプレーヤーである引きこもり大学生の分身のような性格を帯びていき、逆にプレーヤーを操り出してゲームを始めるというストーリーにはゾクゾク…。この劇団の持ち味である“抑えた演技”が不気味さを際立たせ、初めのうち起きていたクスクス笑いはやがて消失、最後にはどのお客さんも恐怖に顔をこわばらせていたのは言うまでもない。主従関係が逆転するという共通点から、当方は腹話術師が人形に操られる“いっこく堂”のあるネタを想起した。
     「レミニセンス」は今公演では珍しくお笑い要素ゼロの悲恋物語。何年にもわたるお話が省略の妙によりコンパクトにまとめられていて感心。劇団の持ち味である抑えた演技がかえって切なさを際立たせ、ラストシーンでは心の冷たいバルブの目も思わず潤んでしまった。
     他にも良作はいっぱいあったが、中でもとりわけ完成度が高かったのが以上の三篇。
     ケチャップ編を観られなかったのが悔やまれる。
     また観たい劇団。

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    2013/11/26 09:55

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