満足度★★★
変わった演出
変わった演出なれど、それがどこに向けて作られた作品かわからなかった。
ただ、商店街にある理髪店の2Fスペースでの公演というのは、興味深かった。
隣の飲み屋の客のおじさんが、公演前に並んでいる観客に声をかけていたり(演出ではない)、公演が始まってからも、そのおじさんが飲み屋でしゃべっている声が聞こえてきたり、劇場ではない空間、その場にしかない生々しさがあった。
立会川という場所自体、さまざまな歴史的背景を持っている地のようで、パンフレットに「坂本龍馬が青年時代を過ごしたことでも有名」とある。隣にある公園にも坂本龍馬像が立っていた。また、「一説には、昔、近くにある鈴ヶ森形場へ送られる罪人が、家族たちと最後に別れを惜しむために立ち会う場所ということから「立会川」と呼ばれるようになった」ともある。この歴史を背負った場所を、「ヴォイツェク」に重ねて上演されているようだ。だが、そもそもヨーロッパの話であり、上演とこの場との連なりを感じることはできなかった。