満足度★★★
夜の部鑑賞
若手役者を中心とした、明るい雰囲気の作品3本立てで、重厚感や様式美は少々物足りなさもありましたが、身構えずに楽しめました。
『歌舞伎十八番の内 毛抜』
密かに進められる悪巧みを豪放な性格の粂寺弾正が暴く物語で、悪事が明らかになって行くスリリングな後半が楽しかったです。
弾正を演じた中村獅童さんは役に合っているとは思いましたが、台詞回しが軽く感じられ、もう少し嫌らしい粘りが欲しかったです。
『澤瀉十種の内 連獅子』
派手な隈取と床を引き摺る長いカツラで雄壮に舞う、まさに歌舞伎という感じの作品で、間狂言の場面ではほのぼのとしたユーモアがありました。
狂言師左近(後に仔獅子の精)を演じた市川弘太朗さんの切れの良い動きが印象的でした。見せ場の毛振りは疲れが感じられました。
『権三と助十』
しょっぴかれた犯人が本当の犯人か疑わしい殺人事件の真相を明かそうとする、喧嘩っ早い江戸っ子の2人を描いた物語で、長屋の人々の賑やかな様子が魅力的でした。
アドリブあるいはアドリブ風のやりとりが多くて客席も大いに盛り上がっていましたが、少々やり過ぎな感じもあり(「やり過ぎるなよ」という突っ込み台詞もありました)、歌舞伎としての味わいはあまり感じられませんでした。