満足度★★★★
ニール・サイモンの目の優しさが好き
三谷さん同様、私も、ニール・サイモンは大好きな作家なので、これまでもかなりの作品を拝見していますが、この作品は未見でしたし、内容も全く知りませんでした。
キャスト名を拝見し、勝手に、松岡さんと中谷さんが主役かしらと思っていたのですが、家族劇で、誰が主役というのでもなく、強いて言えば、孫役の二人が一番重要人物だった気もします。二人の目を通して語られる、父親や、叔母や叔父や祖母の物語といった趣。そして、この二人の子供達の存在が、彼らに影響を及ぼして、ギクシャクした家族関係が少しだけ好転するというストーリー構成が、実に秀逸な舞台でした。
このまだ子供の年齢の孫兄弟を演じられた、浅利さんと、入江さんが、とにかく、ものすごく魅力的でした。
確執がある家族だけれど、そこに、作者の、人間を観る温かい目があって、各登場人物それぞれが、苦手な家族に対しても、どこかで、愛情深く相手をみつめている様子に、感銘を受けます。
最近、昔、一人っ子の私をさんざん羨ましがらせた、友人の兄弟関係が、無残にも打ち砕かれている事例が多く、仲良しの兄弟関係が、これほどにも破綻するのかという現実を直視することばかりなので、たとえ、芝居とは言え、人間関係が破綻しないよう努力しているこの一家の物語は、大変清々しく、心に沁みました。